熊本県民新聞 WEB版
本紙の信条

トップページ
コラム
バックナンバー


■ 発 行 所 ■
〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


 
   
幸山政史市長惨敗
最高裁が門前払い -朝鮮総連に打撃-

 去る11月30日、最高裁は幸山政史熊本市長が上告していた「福岡高等裁判所平成17年(行コ)第12号固定資産税等の免除措置無効確認等請求について、同裁判所は平成18年2月2日に言い渡した判決に対し、上告人兼申立人から上告及び受理の申立てがあった。よって当裁判所は次のとおり決定する」として「主文、本件上告を棄却する。本件を上告書として受理しない」との判決を下した。4人の裁判官全員一致で幸山市長の上告を門前払いしたのである。この判決により2審の福岡高裁が「熊本市が朝鮮会館の固定資産税、都市計画税の減免措置は違法」とした判決が確定した。元々最高裁に上告した段階で識者の多くは「憲法違反を上告理由としている幸山市長側に無理があるのではないか」と見ていたが、結果は予想通りであった。判決理由の中でも「本件上告理由は違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するもの」とニベもない判断を下したのである。

 この件を遡れば勝訴となった「北朝鮮による拉致被害者を救う会」(救う会)熊本の加納良寛会長等が監査請求を行った平成15年に始まる。この年、熊本市は本来徴収すべき朝鮮会館の固定資産税26万7千円、都市計画税3万8千円を免除していた。この減免に対して加納会長等が熊本市に対し「減免措置は税の公平性に反する」として住民監査請求を行った。請求を受理した熊本市監査委員会は平成15年11月18日「朝鮮会館の税の減免措置を取消し免除額を徴収するのが妥当である」旨の勧告を幸山市長に対して行った。

 この勧告自体、幸山市長にとって不名誉な事ではない。「はいそうですか、それでは本年度分から減免措置を取消して課税する事にします」で済む事ではなかったか。だが石頭(頑固の意)の幸山市長は何故かこの勧告を拒否した。その為、加納会長側が住民訴訟を熊本地裁に提訴した。平成17年4月、熊本地裁の永松なる裁判長は朝鮮総連の一部関係者しか使用していない朝鮮会館が「公民館類似施設に該当する」とのおかしな判決を下したのである。原告側は福岡高裁に上告。福岡高裁は平成18年2月、一審判決否定する逆転原告勝訴の判決を下した。
  福岡高裁の中山裁判長は一審で認められなかった原告側の主張を全面的に支持、熊本市側が主張した「公民館類似施設」に対し、「地域住民の学習、文化活動の機会を提供する事を目的としていない。利用者が朝鮮人に限定されている」「朝鮮総連は、朝鮮民主主義人民共和国(これが北朝鮮の正式名称)政府への結集、憂国を謳い、祖国統一を目指す団体であり、政治目的を有している」と一審判決を明確に斬捨てた。この判決に対する幸山市長の当日のコメントが面白い。判決を報道した本紙にも書いているが「地裁と全く異る判決に戸惑っている」である。流石九大出身の幸山市長だ、裁判というものは一審判決が上級審でも続くと思ったのであろう。


次期知事候補乱立
蒲島郁夫東大教授が本命

 潮谷知事の三選不出馬表明を享けて「出たい人」が名乗りを挙げた。確か以前に「出たい人より出したい人を」のキャッチフレーズがあったと思うが、肥後のわさもんは誰より先に出たがる。

  先ず前回参議院選で落選後「次を目指し」てコツコツと小集会、パーティに顔を売り込んでいた北里敏明氏(61)が出馬を表明。次に何を勘違いしたのか相良村矢上雅義村長が名乗りを挙げた。その後元県地域振興部長の鎌倉孝幸氏(61)が潮谷県政の継承を謳って出馬表明、潮谷知事も「鎌倉さ んはこれまで県政を通してよく知っている信頼出来る」として応援を表明した。自選殿?(しんが り)を務めるのは岩下栄一氏(61)元参議。

  対する自民党県連と民主党県連は目下人選中だが、自民党は崇城大学中山峰男学長(60)と蒲島郁夫東大教授(60)の二人に人選を絞った。中山氏については「勝つ為の候補」としての印象が強い。 崇城大、文徳高校(工大高)の卒業生、在校生と父兄の存在は有力票として加味出来る。しかし、私営運営が厳しい昨今、学長が政治に首を突っ込む事は大学の経営に悪影響を及ぼす。又、同学長が佐々姓から中山義崇前学長と養子縁組して学長職を継いだ時、前学長の身内との遺恨も案じられる 。蒲島氏は、鹿本高校在学中の成績はオール2で、卒業後も家計を扶ける為地元農協に勤務、農業留学で渡米、その後ネブラスカ大を受験して落第、同大の教授に認められて入学。同大卒業後ハー バード大大学院に入った。数千人に一人という難関を突破しての入学である。同大卒業後、筑波大を経て現職に至る。苦労が分かる秀才であり、自民幹部は最終的に蒲島氏に絞り込む可能性が大きい。但し革新色が強いのは日常全国紙に書いてある評論を見ればわかるが。民主党の隠し球は安田本渡市長だが、一期の間もない今安田氏が受けるかどうか。鎌倉、蒲島の一騎打ちとなる公算が大きいと見る。

<<1面記事に戻る