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福祉法人支援
出資者との契約実行せず -落水市議「事実無根」と反論
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熊本市議会元議長で、当選6回のベテラン市議落水清弘氏が、社会福祉法人理事長から契約不履行による損害賠償訴訟を起された。平成21年7月15日付。訴訟の原告は社会福祉法人星峰会理事長東三起夫氏。

訴状によれば1、原告は、平成18年7月、被告社会福祉法人桜ヶ丘福祉会の当時の理事長落水清弘氏との間で以下の契約を行った@原告の妻の兄T氏を平成19年7月の理事改選時、または理事職に空席ができ次第同会の理事に就任させる。AT氏を終身的に桜ヶ丘福祉会が経営する桜ヶ丘保育園の園長とし、同園を独立採算性で経営させる。BT氏の園長としての給料は年間1千万円以上を保証する。C以上@〜Bの対価として原告は、被告落水及び被告桜ヶ丘福祉会に対して金1億2500万円を支払う。2、原告は本契約に基づき、被告落水に対し、1億2500万円を以下の通り支払った。@平成18年7月末頃、2000万円。A平成18年8月7日1億500万円。3、しかしながら、被告両名は本契約を履行しなかった。すなわち、Tは今日に至るまで被告桜ヶ丘の理事に就任していない。また、桜ヶ丘保育園の園長として桜ヶ丘福祉会に雇用はされたものの、独立採算性での経営は実現せず、年収は1000万円には及ばず、かえって、被告桜ヶ丘福祉会はTに対し、平成20年8月1日付労働条件通告書を一方的に提示し、園長として2年間の期間の定めのある雇用契約に変更しようとした。4、そこで原告は、平成21年2月23日付内容証明郵便をもって被告両名に対し、前記1の@ないしBを平成21年3月31日までに履行するよう催告し、右期限までに履行されなかった場合には、本契約を解除する旨通知したが、右期限までに履行しなかった。5、省略。6、予備的主張(不法行為に基づく損害賠償請求権)@被告落水は、金1億2500万円の受領すら否定しており、本件契約締結前から、本件契約を履行する意志はないにもかかわらず、専ら、原告に1億2500万円を支出させるための口実として、原告に本件契約を締結させたものと推認される。

かかる被告落水の行為は原告に対する詐欺行為(不法行為)であり、これにより原告は1億2500万円を支出し被害を被った。A被告落水は、被告桜ヶ丘福祉会の理事長であり、本件は、被告落水がその地位に基づいて職務を行うについて、原告に加えた損害であるから、被告桜ヶ丘福祉会も、その損害である1億2500万円を賠償する責任を負う。以下略。

前記の訴状の通り、元市議会議長を務めた落水清弘氏は、出資金の返還(損害賠償)を求めて訴えられた。この訴えに対し落水清弘氏は、小紙の電話取材に対し「書くんですかー、自分としては身に覚えのない事実無根の訴えです」「では裁判で争うという事ですね」「事実無根(どこかでよく聴いた様な気がする)ですので、結局そうなるんでしょうかねえ」と心許ない回答であった。この件、ここまでの経緯に至る迄には有象無象の動きがあり、官公庁を含む県内の著名人達の名前が出たり消えたりしており、福祉法人という宝の山を巡る争いは絶える事はない。


公選法違反の疑いで告発

落水市議の福祉法人寄付金

落水清弘市議については、前記民事訴訟が7月に提起されたが、それ以前にも公職選挙法違反で別の人物から熊本県警本部に刑事告発されていた事が分った。告発日は本年3月17日付、告発人は落水市議が理事長を務めていた社会福祉法人桜ヶ丘福祉会の創業者藤院了幸氏の子息で、社会福祉法人星峰会理事の藤院幸寿氏。訴状によると、落水市議は平成18年5月29日、社会福祉法人桜ヶ丘福祉会の理事長に就任した。同会は、昭和41年に藤院了幸氏が設立、保育園や特老ホームを経営している。創立者の不祥事で経営が行き詰った為外部に資金援助を求めた中で、落水市議他1、2名が名乗りを挙げた。落水市議には自己資金はない。大学の先輩で、星峰会理事長に出資を相談し、OKを得て(前記1億2500万円円)理事に就任、前記5月29日の理事会で理事長に選任されたのである。以来平成20年3月までの間に2,560万円を同会に寄付した。公選法では一部例外を除き選挙区内の寄付を禁止しており、告発人は、落水市議が同法に触れているとして告発したものである。落水市議の寄付の原資は同福祉会理事長としての報酬(月額100万円)をそのまま寄付しており、実際に現金が動いた訳ではない。又、関係者は「週に1回顔を出すだけの理事長の報酬100万円は異常だ」と語っており、理事長就任前後の状況からこの寄付金は理事長就任の条件と見る関係者も居る。

寄付金の予定は、平成20年以降毎年1千万円を同24年まで。同25年に660万円となっていたが、問題発覚以来、熊本県健康福祉部も知る所となり、落水氏が市議を続ける限り本人名の寄付は出来なくなる。尚、同告発状は諸般の事情で熊本県警は不受理としている。しかし、落水市議が支払った寄付金については、2件が時効にかかるものの違法寄付金であったのは間違いのない事実であり、今後落水市議の対応が注目されている。尚、同法人側は県の指導を受け落水市議からの寄付金を返還する方向で検討している。



社会福祉法人桜ヶ丘福祉会
経営権を巡って泥試合

社会福祉法人については、創立者の不祥事がトラブル発生源になるのが殆どである。過去数回小紙でも報道したが、創業者である理事長が、法人の代表といった感覚を失って公金を私的に流用するのが端緒となる。福祉法人は、社会福祉事業法で厳しい規制がある反面、保護されてもいる訳で、運営は公正さが要求される。理事会が全てを決定するので、当然理事会は身内で固める事になるが、身内や企業関係が占める理事数も規制がある。本件の発端も、創業者である藤院了幸氏が保育園移転に伴う使途不明金があると熊本県の監査で指摘された。その責任を取って藤院了幸氏は理事長を辞任、同氏の妻も理事を辞任した。平成16年4月、理事のTG氏が理事長に就任、前理事長を横領罪で告訴した。しかし桜ヶ丘福祉会の運転資金の調達が出来ず、平成17年5月の理事会で支援を外部に求める決定をした。支援の手を挙げたのは理事のY氏とM氏、社会福祉法人星峰会(東三起夫理事長)であった。後にM氏は支援を断念した為Y氏と星峰会(落水清弘市議)の2者が支援で動いた。理事のY氏は、熊本県内で手広く事業を営むYグループの代表取締役。星峰会も運転資金は充分にあった。桜ヶ丘福祉会の理事長もY派と落水派に分れ、互に支援受入れを図った。平成18年初め頃落水市議から東氏に「桜ヶ丘福祉会の件は話がついた。Y氏が辞退し、Y派の理事は辞任し、自分が理事長に就くことになった。資金は自分とHクリニックのK院長とで折半して用立てることになった。K院長は桜ヶ丘徳寿園を、自分が保育園2施設を引き受けることになった。

ついては、どちらかの保育園を任せるから資金を半分出してくれないか」と話が持ち込まれた(以上訴状から)。東氏はこの申出を検討した結果「植木の桜ヶ丘保育園なら1億2500万円、世安の第二桜ヶ丘保育園なら1億5000万円で事実上買取る。処遇として同会の理事就任と園長になり独立採算性で経営出来る事が条件」と返答、落水氏もこれを了承した。同年5月29日の理事会で落水氏が理事長に就任、Y派の理事3人が辞任したのが判明。落水氏の提案に信憑性があると判断し、星峰会が運営する保育園の園長に就任予定であった東氏の妻の兄T氏を桜ヶ丘保育園の園長に就かせた。以上、訴状と関係者の話を纏めたが、訴状の中で東氏は、はっきりと「買取り」と表現、落水氏もこれを了承している。即ち、社会福祉事業法で禁止されている施設が売買されたのである。福祉法人の場合、通常は私財の寄付名目で取引きが行われる(実際は売買だが)が、少くとも落水市議に対する損害賠償訴訟の訴状で売買が謳われている。落水氏は、市議会議員と云う公職に在りながら、法を侵した事になるのではないか。尚落水氏は平成20年7月28日付で理事長を辞任しているが、理事に残っている。この件、まだどろどろした部分があるが次号に譲る。



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