去る五月八日、毎日新聞西部版は一面トップで陸上自衛隊が沖縄で「暴徒鎮圧」訓練を米海兵隊から受けていたと報道した。
白抜横見出し「陸自、極秘に暴徒鎮圧訓練」の下に「米海兵隊が協力」「専門家『治安出動に通じる』との大見出しは、まるで国家機密を握ったかの様な錯覚を見る者に与える。
内容はウィニーを介して流出した陸自の内部情報であり、毎日新聞社の独自の取材から得た情報でもない。
要約すると「陸上自衛隊が昨年三月、沖縄「キャンプハンセン」で米海兵隊から暴徒鎮圧など部隊保護の訓練研修を受けていた」「毎日新聞社が入手した報告書には『暴徒する、群集に対する制圧・鎮圧』などの記述があるが、陸上幕僚幹部は『部隊保護の研修だ』としている。
米軍の協力による暴徒鎮圧などの訓練研修が明らかになったのは初めて」「研修は『基地(駐屯地)警備にあたる隊員が暴徒等を排除する場合』などの状況を想定」として米軍教官から暴徒を武器を使わず(警棒使用)鎮圧する方法を習っていた様だ。
「治安出動訓練は70年安保闘争のころまで実施されたが、国民の反発を危惧して長年行われていない」と結び、その後に軍人評論家小川和久氏と前田哲男氏の談話をとっている。
特に前田氏の「米軍と自衛隊の一体化が進み、議論もないまま自衛隊の活動が米軍基地警護や、治安出動のような訓練に広がるのは問題だ」の言葉を惹いて訓練の危ぶさを訴えている。
先ず70年安保以後「治安出動訓練」が行われなくなったのは「国民の声」ではなく、「警察力で十分対応が可能」との政治判断と、学生運動の急速な低下があった。
米軍一体化の深まりも、現在外敵から日本を守ってのは米軍であり、戦術や戦闘体験が豊富な米軍から学び、共同訓練を行うのは当然の理であろう。米軍基地警護も法的に何ら問題はない。
毎日は「治安出動に通じる研修」とこじつけているが、これにも無理がある。
現在の日本国内の治安は警察力で十分安全に保たれている。
「極秘に暴徒鎮圧訓練」というが、この程度の訓練を公表する義務は陸自にはない。
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