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コラム [毒含流行論]
 

9月・10月合併号掲載 : こんにゃくゼリー事故 責められるのは誰か



 今夏、1歳児が1口サイズのこんにゃくゼリーをのどに詰らせ窒息死した。この事故を受けて各メディアを始め、家庭の主婦らがゼリーの製造元の菓子会社を非難していた。幼児にゼリーを細かくせずに食べさせた母親の非常識を責める声は皆無であった。

 一例を挙げると、朝日新聞10月10日付「声」欄「ゼリーの事故・機敏な対策を」の見出しで52歳の女性の投書が載っていた。この女性は「1歳9カ月の男児がこんにゃく入りゼリーをのどにつまらせ先月亡くなった。1995年以来の死者は分っているだけで17人目という。製造元の『マンナンライフ』はようやく、事故のあった商品『蒟蒻畑』の製造を当面停止することを決めたと聞く。でも私は対応が遅いと思う。政府は、この痛ましき事故に抜本的な対策をとってこなかった。」以下略。

 この批判、よく見るパターンで、少年事件が起きると学校や社会に責任ありとする。事の本質を見ない感情だけの批判である。ゼリーの大きさが原因であるのは間違いのない事実である。しかし、それをそのまま1歳の吾子に与えた母親に責任はないのか。真に責められる相手は業者ではなく母親である。吾子を不慮の事故で亡くした母親を直接責めるのは酷であろう。だがこの事故を通じて幼児を持つ多くの母親、身内に警告を発する事は充分に可能であろう。その方がゼリー製造業者の製造を止めるより早く、効果的である。

 筆者にも子供が居る。幼い頃アメ玉を与える時は小さく噛み砕いて、小さな1片を口移しに(汚いか)食べさせた。他の食べ物についてもよく噛む様指導した。よく噛めば細かくなり唾液が混ってのどを通り易い。これは常識と思っていたが最近の親には伝承がなされていないのであろうか。

  餅や団子、大きいアメ玉はどうなるのか。毎年正月前後にお年寄りが餅をのどに詰らせる。蒸し芋も同様である。芋は2口、3口食べた頃のどに詰まり易い。子供の頃息が苦しくなって友達に背中を叩いてもらった事がある。筆者が叩いてやった事もある。その結果、唐芋を食べる時は1口目をじっくり噛んで、充分唾液が混ってから飲み込む様になった。ゼリーの大きさを責めても事故は減らないだろう。
 
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