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発行者:福島 宏

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* コラム [毒含流行論]
2012年8・9月合併号掲載
いじめ自殺は防げない
虚しい防止論百花繚乱

 昨年10月、滋賀県大津市で市立中2年生の男子生徒が自殺していた問題が今夏になって炎上した。何故9カ月もの間事件が表に出なかったのか。偏に地元メディアの怠慢、若しくは情報収集能力の不足と思われる。先ず被害者の父は息子が自殺後何度か地元警察署を訪れ、真相の究明を訴えている。しかし警察署窓口は「本人が死亡しているので証拠固めが難しい」として門前払いをした。他方学校側は「自殺といじめの因果関係はない」と突っ撥ねていたが、父親の再三に亘る訴えで2回アンケート調査を行った。その結果を受けて昨年11月緊急保護者会が同校で開かれたがその日加害者の母親が突飛な行動をとった。中学校校門で「自分の息子は悪くない。問題は被害者家庭にある」と書いたビラを配ったのである。因みにこの母親は同校PTA会長であった。担任や校長が加害生徒を庇った原因の一つだ。アンケート調査の結果を学校も市教委も公表する事はなかった。

 今年2月被害生徒の両親はいじめ3人組と保護者、大津市を相手に損害賠償を求めて提訴した。それでも地元メディアは事の真相を掴んでいなかったと思われる。「この問題が大きく報道されだしたのは7月4日共同通信が『自殺の練習をさせられていた』というアンケート結果を配信し、新聞やテレビが大きく取り上げたからだ」(週刊文春7月26日号)。いじめ自殺としてテレビニュースで大きく報道された映像で一番印象的だったのは藤本一夫校長のおバカ振りであった。度々発言が変わった上、手振り身振りで自己弁護する不様な面を何故か筆者は東国原の女性問題の弁明と重なったのである。どちらも下卑ている所が共通している。教育長の沢村憲次の答弁も支離滅裂であった。

 その後大津市は外部調査委員会を設置して真相の解明を目指すとして被害者の父親の希望を容れて「尾木ママ」(おかまか)なる熱血教師を招請したらしい。で、ここからが本題になってしまったが、「文科省主導」とか「地域全体で指導監視を図る」など議論百出しているが効果の程は疑問だ。いじめの根源を辿れば戦後の日本の教育界の堕落があり、アメリカ型個人主義の蔓延がある。教育界の失われた六十七年の根は深い。
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