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* コラム [毒含流行論]
2018年233号掲載
安倍発言 物議を醸す
野党に好餌与えた

 安倍晋三首相が窮地に追い込まれている。その原因を作ったのが「首相自身である」と筆者は思っている。昨年2月9日、朝日新聞が報じた所謂“森友学園”問題で、野党から追及された首相は「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞めます」と答弁した。

 この答弁をテレビニュースで見た筆者は「まずい発言をしたな」と直感した。この発言で野党が“活気付く”のは目に見えている。それまで「安倍一強」に手も足も出なかった野党だが、この発言を言げん質ちに取り安倍降しに走り出すと思ったのである。その後の経過を見ると筆者の思った通りであるが、安倍発言は筆者の思いとは別の方向に走り出した。それが財務省近畿財務局職員らの「安倍発言を忖度した文書の改竄」発覚である。

 3月には当時財務省理財局長であった佐川宣寿氏の証人喚問が予定されている。佐川氏の証言がこの問題に油を注ぐ事になるか、火消しの水になるかは判らないが、佐川氏は真実を語ってほしいものだ。

 他方安倍首相の足を引っ張っているのが他ならぬ夫人の昭恵氏だ。籠池理事長夫妻とは人を通じて知り合ったと云うが、学園を訪問した際園児等が一斉に安倍首相を称えた姿を見て感涙を流した姿はテレビニュースで何度も報じられた。学園の“日本精神”を高揚する教育方針に賛同して100万円を寄付している。世間知らずで自由奔放に生きる昭恵夫人を「遣える」と籠池氏が読んだのは想像に難くない。昭恵夫人を挟んで籠池夫妻が写っている写真を最大限利用して、近財局職員に圧力を掛け国有地を安く取得した。それを裏付ける文書が近財局で作られた書き換え前の文書「…なお、打合せの際、『本年(平成26年)4月25日安倍昭恵総理夫人を現地に案内し夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいたとの発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)」である。昭恵夫人の発言は籠池氏が作り出したものであろう。

 籠池夫妻は補助金適正化法違反と補助金詐欺容疑で収監中だ。安倍首相が、自分と夫人の「関与は絶対ない」と自信を持って発言した言葉が逆効果となってしまった。
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