熊本県民新聞 WEB版
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平成二十年四月号スクープ報道
熊本市長ら対策怠る 税金ドロボーを見逃した

 平成十六年十一月九日付熊本日日新聞社会面に 「売上金20万円紛失・熊本市交通局臨時バス代金」 の見出しが掲った。内容は 「十月二十八日高校からの利用で臨時バス二十数台を運行、二十九日代金約六十万円を営業所の職員など二人が受け取った。しかし、一日売上金の回収・計算を委託している民間業者から同交通局にあった報告は約四十万円で、二十万円がなくなっていることが判明した。以下略」 (概要のみ)。市は所轄署の熊本東警察署にも届けた (後に犯人不詳で告訴)。この記事に筆者が興味を持っていたのは、これまでも 「かつては運転手個人が水揚げをごまかしていたが、今は監督、監督長らが宿直の時に金を盗っている」 という噂を耳にしていたからである。その後、取材を試みたが、核心に迫る事が出来ずに居たが、平成十九年頃から一部運転手に接触が成功、その後いじめを切っ掛けに内部告発者が現われ、運賃窃取の手口などが判明、平成二十年四月号でスクープ報道した。その後も本号にある様に運賃窃盗疑惑を報道したが、市は何らの効果的対策は講じなかった。やった事は運賃収納ボックスがある場所の天井に監視カメラを設置、それまで南京錠をつけていた通称 「金庫室」 ドアをカードロック式に変えた位である。これは全く無意味。他人や、運転手が収納ボックスを開けるのは先ず出来ない。錠を持っているのは所長と監督長、監督のみ。宿直はこの監督と監督長のペア数組が一夜毎に行っている。極言すれば盗っ人に金庫の錠を預け、毎晩泊めるようなものだ。

  外部委員会を作って案件を丸投げするのが好きな幸山市長だが、この件で積極的に動いた形跡はない。何故外部の有識者、交通局関係者らで真相解明の為の組織を作らなかったのか。当事者に 「過去は免責する」 として真相を解明し、以後の防止を講ずるだけでもかなりの“運賃紛失”が防がれたと思う。

  小紙で何度も報じているが、この時のメディアの報道日を確かめてもらいたい。二十万円の紛失が分ったのが十一月一日月曜日だ。集金したのは十月二十九日だがこの日が金曜日であった為肥後銀行計算センターと回収を請負っている日通が土日休みで、月曜日に運賃回収、計算となった訳である。従って三組六人の監督、監督長と、集金に行った営業所長と交通局係員の八名が犯行リストに挙る。紛失金額も熊日報道の20万円ではなく29万円である。十一月一日に紛失が分って何故メディア報道に八日間を要したか。小峯営業所長以下監督長が 「事実を隠蔽しよう」としたからである。この時の動きは小紙平成十六年六月号に詳しいので省略するが、営業所長らが隠そうとしたものの、運転手仲間にすぐ噂が広まり隠せなくなって公表したものである。だが、何故か東署はこの簡単な事案を解明出来なかった。


元営業所長以下六名 窃盗容疑で県警に告発
八月送検・熊本地検不起訴

 小紙は 「熊本市営バス運賃を監督長らが窃取している」 と決めつけて報道した。イニシャルとはいえ、名指しした監督や監督長から抗議の電話、手紙、メール等は一件もなかった。逆に 「頑張ってくれ」 とか 「市バス運転士のOBだが、お宅が書いている記事は事実だ」 と何人もの人達から激励と共に、在職中の見聞した事実を教えてくれる人も居た。決めつけて報道した根拠の一つが、解錠機の扉が開いて現金や乗車券が溢れ出ている写真である (三面に写真)。その他、運転士時代は借金でピィピィしていた奴が、監督になると急に金回りがよくなり、同僚に奢ったりする。ゴルフには休日の度に行く。米国製ハーレーダビットソンを乗り回す。その他運転士の収入にそぐわない金の遣い方が目立つ様になるからである。それと小紙を見たOB氏の情報と関係者の内部告発がある。東署の捜査に期待したが、内部情報で 「バス運賃紛失の件で動きはない」 と聴いた。小紙としてはバス、電車部門で毎年大赤字を出し、一般会計から十億前後の繰入れで運営されている部門の職員が多額の現金を盗んでいる事実が許せないのである。警察不信に陥った筆者は 「地検ならば」 と一縷の望みを託して熊本地検に告発した。が、告発相手が当該者ではなかった為、詳しい説明もないまま不受理となった。で、再度県警に挑戦、平成二十一年一月二十日付で元営業所長以下六名を窃盗容疑で告発し受理された。

  県警は本部一課と東署でチームを組み捜査に当った結果、八月二十日熊本地検に送検となった。確かに捜査はして頂いた。再捜査が始って間もなくは、被告発人らは 「時間外に居酒屋や、個人宅に集り情報交換している様だ」 と聴いた。又、「今日刑事が小峯営業所に来ていた」 とか 「今日あいつは嘘発見器にかけられた」 と情報は寄せられた。しかし、県警幹部が 「この様な案件を挙げるのは難しい」 と云った通り、強制捜査には及ばず送検となった。捜査内容も大方は掴み、捜査手法などに不満もある。送検の際の経緯にも云いたい事はあるが、捜査ご苦労様と云っておく。地検については「もしや」と期待したが、関係者の 「この種の案件で地検が警察に再捜査を指示する事はない。送致された捜査内容で結論を出す」 の一言で「不起訴」を確信、その通りに十二月三日付某検事名で処分通知書が届いた。但し送検前、県警幹部は 「この中に一人だけ真っ白が居っとたいな」と云った。即ち五名は灰色、若くは黒という事であろう。平成二年から始ったと云う運賃窃盗疑惑はこうして一応の結着を迎えたのである。










村上寅美全養鰻連会長 (近々解散?)
県議の力で養殖場建設

 上掲産経新聞 (本年九月七日付) を読んで驚いたのは筆者だけではあるまい。選りも選ってうなぎ偽装問題について“偽装の本家”に偽装問題の解決策?についてインタビューしているのである。直近の大手スーパー 「イトーヨーカ堂」 元社員らによる輸入元偽装や商社による産地偽装に係わる一連の報道の一環と思われるが、今少し取材先に慎重であってもよかったのではないか。

  記者の 「相次ぐ事件で国産品に対する信頼も揺いでいるが」 の質問に 「国産は稚魚の採捕から店頭販売まで養鰻組合が管理できる仕組みを作るべき」 と我田引水的回答。稚魚 (シラス) の採捕も 「熊本県では既存の養殖業者でないと許可を受けられないが、他府県では専門の採捕業者でもいい事になっている。そこに高値でさばくブローカーや暴力団が入り込む余地が生れる」 とも語っているが、これもおかしい。現に熊本では川口漁協などが他府県で禁じられている 「地獄網」 を使って他の魚諸共採捕しているではないか (高値の時は他県の業者に横流しするのが気に食わない?)。 「具体的対策は」 と記者。村上会長は 「シラスウナギ漁の許可を生産者団体 (養殖組合) に一本化すべき」 と虫のいい答え。養殖組合は自分の身内、又は息のかかっている人物ばかりではないか。一本化するという事は自分が独専出来るという事。 「生産者団体のもとで採捕業者がシラスウナギを捕獲し、信頼できる指定業者 (自分か) が集荷するようにすれば、ブローカーの手に渡ることはない」 とも。即ち、シラス不漁期に他県の業者に流れず、自分が独専出来るという事だ。信頼出来る業者は熊本養鰻緑川生産センターを除いて玉名市、氷川町の小さな業者しか居ませんよ。尤も玉名市の業者は 「熊本でやる限りこれ以上は広げられない」 として海外に新養殖場を設けた。紙面の都合で以下は省略するが、熊本で偽装発覚第一号は村上会長が実権を握っていた 「九州生鮮」 と 「岩本水産」 (八代市) の二社である。

  平成十九年十二月の事である。九州生鮮植木営業所 (柳田所長) が台湾産うなぎを熊本産として業者に販売していたのが県の調査で発覚した。当時のメディア各社は、同社の代表者を建設会社々長名で報じたが、実質村上県議 (当時議長) がオーナーであった。登記簿上では平成十七年四月、村上寅美氏と身内が役員から退き建設会社社長が代表取締役に就任している。が、同社長は本業の建設業に専念、九州生鮮 (うなぎ養殖場) に一度たりとも顔を出した事はない。又、九州生鮮が活うなぎを偽装したのは、当時の柳田場長の怠慢から養殖池二面分のうなぎを死滅させた為慌てて台湾産 (一説では中国産だったとの話もある) 数屯を輸入したのである。この場長は独身で酒好きの上、パチンコにも凝っていて餌、水温管理を怠った結果の不始末で、偽装発覚後クビになり郷里の鹿児島に帰っている。九州生鮮の養殖うなぎは親会社である潟ーマンが仕入れていた。ヨーマンは関連スーパー 「黒潮市場」 (熊本市・大分県に十店舗程展開) に 「熊本産蒲焼」 として卸しており、購入者から不信感を持たれた“実績”がある。又、分離したとは云え元は子会社であった 「兜汢ェヨーマン」 (川越勝社長) は輸入した台湾産うなぎ蒲焼を福岡ヨーマン名入りの箱に入替えている所をテレビ朝日にスクープされ、夕方のニュースで放映された。こんな偽装のデパートたる村上寅美会長にインタビューでは産経の名折れではないのか。


公的補助金で建設の緑川養殖センター
実態は村上一族の私有施設

 熊本県養鰻漁業協同組合 (村上寅美代表理事) は、平成十七年から二年間に旦って農水省の 「強い水産づくり」 に基づく補助金 (約一億四千万円) を受け、富合町釈迦堂に 「緑川漁業生産組合」 を設立、うなぎ養殖場 (二十四面) を建設した。

  当時の代表理事は、村上県議の妹婿である木下優喜氏、みかん農家でうなぎ養殖には全くの素人であった。その為養殖場運営のベテランK山氏を雇用した。K山氏は鹿児島県出身だが全国的に養殖場の指導に当ったりしているプロである。その下に地元の若者数名と、彼等の監視役としてヨーマンで村上会長秘書を務めていたSを事務担当として派遣した。施設は最新式の為、管理室で水温の変化など一括監視が出来、給餌などもボタン一つで行われている。

  この組合に平成二十年一月会計検査院から検査が入ったのである。目的は 「補助金の不適性使途の解明」 にあったとされる。補助事業先には当然検査が入るが、この時は一月二十一日から五日間、即ち月曜日から金曜日まで富合町役場 (当時) を拠点に二人の検査官が、県水産課と緑川生産センターを往き来しながら精査した。元因は、前年の検査の際改善個所、書類等を指摘したが 「改善の跡が見られなかったから」 と云われる。が一部関係者は 「補助金申請額と施設が適合しない為、補助金の使途について調べた」 と語っている。

  この日の件は、同年四月二日、衆院農林水産委員会で民主党石川知裕議員が若林国務大臣に補助金の不正使用はないか、養鰻組合が適正に運営されているかと質問している (回答は省略)。その他 「同組合の実態は養殖センターは鹿児島県から養鰻経営者を呼んで所長として管理させ、四人の役員の勤め先はヨーマングループで、ここの代表は熊本県議会議長の村上寅美さんという方です。熊本県では大変な実力者で、緑川センターでつくられたウナギは全部このヨーマンが買取っている」 と質問が続いた。後に石川議員は会計検査院にも検査結果を訊いたが 「まだ調査中」 として結果までは得られなかった (注、昨年度中に補助金一億四千万円の返還命令が出たと噂が上ったが未確認)。

  その後の緑川センターが面白い。単身で来ていたK山氏と監視役のSが出来たらしい。ある日、木下代表理事がセンターを訪れ 「Sは今月一杯で馘だ」 宣言。K山氏は 「あと少しで勤務歴二十五年に届くのでそれまで置いて貰えないか」 と嘆願したが木下氏は 「ノー」。その後K山氏も解約された。木下氏は管理を学び地元の職員と運営に携っている。そして馘になった筈のSはヨーマンに秘書として復職。馘切りはK山を切る為の芝居だったとさ。
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