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熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

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松本漁連会長解任劇
藤森副会長(川口漁協組合長)が主導
 県漁連(熊本県漁業協同組合連合会)会長の椅子を巡って反乱分子が決起、会長の追い落しに成功した。一方追い出された前会長は身分保全仮処分の申立てを検討中で、会長ポストを巡っての争いは泥沼の様相を見せ始めている。

 事の発端は去る3月29日開催の通常理事会の場で出された「緊急動議」にある。県漁連は、県内38組合ある漁協の第1部会から第5部会の中から選出された8人の理事と県漁連専務理事の9人で構成された理事会で運営されている。29日の理事会は藤森隆美副会長が「周到に根回しを行って開かれた」(某理事談)。勿論、松本忠明会長らは何も知らされないまま会議に臨んだ。松本会長は開会後の会長挨拶を行い、議事に入ろうとした途端「藤森派」と称される某理事が「緊急動議」を提案した。動議の内容が「松本会長の解任」であった為、中庸派と見られるE、U、Sの3監事とU理事が退席。松本会長と同じ第5部会に属するH理事は、この日の召集が急であった為欠席していたので賛成多数で解任された。

 松本会長解任理由は4期目(平成22年6月)の会長選前に「私は3期で退任する」と云っており、周囲も「次は藤森副会長が会長に選出か」と見ていた。しかし、理事会で藤森氏と松尾漁協黒田組合長が会長立候補を表明した為「地元が纏りきれていないと今後に禍根を残す」として選挙を見送った。その時松本会長も再選に意欲を見せた為「松本続投」で決着を見たのである。その際松本会長は「4期目の会長を引受けるが、私は天草漁協の組合長もしており、若し天草漁協の組合長を辞めた時には県連会長も任期途中であっても辞めるかもしれない」と発言した。その天草漁協でも松本会長は、一旦は辞めると云っておきながら続投となった為、県漁連会長も「辞めない」となり「2年で辞めると云った」とか「リーダーシップがない」として解任動議提出となったのである。新会長に選出された藤森会長は第1部会の青山理事を後任副会長に指名、新体制が発足した。しかし今回の会長交替劇に多くの単協組合長らが反発をしており6月の総会は荒れ模様である。



藤森理事の黒い履歴書
山口組系暴力団総裁と親交
 熊本県漁連の会長に就任した藤森隆美氏については、若い頃から"武勇伝"に事かかない。漁業を生業に今日まで海を相手に生きて来た男であるが、単純な「荒くれ男」とはやや異なる。主としてアサリ貝を採る生活だが、アサリ、ハマグリなどの貝は夫々の漁協の縄張りで区分されている。藤森氏は川口漁協に所属、アサリやハマグリを採捕しているが、資源を守る為の指示、通達を破る事再三であった。又、他の漁協の養殖場に行って密漁を繰返していたと云われる。ある業者は「何度本人に注意しても聞き入れないので組合員が海上保安庁に取締りを要請。出動した保安官が本人を逮捕しようとした際取締官に暴力を振るった為、暴行と公務執行妨害で逮捕された事もあります」と語る。この他凶悪事件を起し服役した経歴の持主でもある。川口漁協の組合長に就任した際も、「反対したら何をされるか分らない」との思いから組合理事は反対出来なかったとも話している。その背後に山口組系暴力団の存在があるのも周知の事実である。

 かつて小紙は藤森組合長について2度程書かせて頂いた。1度目は新幹線の線路を通す為、緑川に鉄橋を架けた時である。記事の見出しは「緑川河口五漁協の役得」「新幹線橋脚・迷惑料?一千万円」で、橋脚を立てる事による被害を理由に、工事請負のゼネコン、大成と、はざまから各5百万円を受取ったというものである。取材に当って藤森組合長にアポを取ったら折返し山口組系A組のA総裁から「私も同席してもらっていいですか」と云うのでOKした。その際、藤森氏は「1千万は確かに貰ったが、緑川河口を縄張りとする畠口、川口、海路口、住吉、網田の5漁協で分配した」と云ってノートに5漁協名と各組合長名押印の受領証を提示した。この時、筆者は金が鉄建支援機構から出ていると思っていたので、そのまま引下らざるを得なかった。味付海苔と寿司用の海苔少々を貰って喜んで漁協を後にした。しかし、その後の取材で、前記ゼネコンから藤森氏の個人口座に金が振込まれた事実を知り、再度藤森氏に「もう一度領収書を見せてくれ」と云ったら「見せる必要はない」と参事を通して回答があった。

 その5分後A組総裁から「藤森の事を書くのか」と電話があったので「書く」と云うと「あそこはわしが面倒見とるが、それでも書くのか」と云うので「書くよ」と云ったら電話は切れた。で、前記の見出しで報道したのである。A総裁自ら藤森氏と親密な関係を持出し小紙の報道を抑えようとした訳で、藤森組合長と暴力団との関係は明々白々と云える。



会長交替急いだ理由
 県漁連を構成する8名の理事は、北から北部漁協、横島漁協(第1部会)。畠口漁協、川口漁協(第2部会)。鏡漁協(第3部会)。八代漁協(第4部会)。天草漁協(第5部会)の5部会から理事が選出されているが、海域が狭い第3、第4部会は1名ずつ。他は2名となっている。

 松本前会長は天草漁協組合長兼任。県漁連理事会のおかしい点は、組合長選出の際の投票権が各理事に2票あることだ。前記8理事に加え、県漁連専務理事が加わるので奇数の理事構成になり、2票も1票も結果は同一と思う筆者が単純か。

 藤森氏が来年6月に会長選びがある理事会を待てず急いだ理由を理事の1人が語る。「第4部会のS理事は、3年前八代漁協組合長を辞めると云って一旦他の者に決っていたのを覆して再選された経緯があり、今年6月の組合総会で辞める可能性が高い。横島組合長のA氏も新人が次期組合長を狙って運動し、理事6人中5人の同意を取付けたと云われ、来る6月の組合総会で再任の望みはなくなった。この2理事は藤森支持派である。再任されず反藤森派と見られる新組合長が理事に入れば、来年の会長改選で自分が選ばれる芽はなくなる訳だ。それを読んで強行突破を図ったのでしょう」と語った。藤森新組合長が指名した青山副会長だが、来年6月の総会では他の理事に替えるとも云われている。




 小紙23年11、12合併号1面でスクープした熊本市立天明中学校柔道部員の越境入学について、市教委から改善策の報告を得た。熊本市教育長広塚晶子名で、各小中学校長様として「就学事務に関する対応方針について」と題し「部活動加入や学力向上など学校教育活動を理由とした児童生徒本人のみが身元引受人のもとに同居する転入学は適当ではないものとして指導する」「学校外の活動(地域のクラブチーム加入など)の場合、就学も可能だが、学校教育活動の一環としての大会参加は適当でないとして指導する」「越境による転入学が発覚し、適正な就学を指導しながらなお指導に従わない児童生徒の部活動等での大会参加については適当でないものとして指導する」「※指導については、教育委員会事務局の関係課で行います」とあった。

 小紙への説明は次長と学務課長が行った。両者は市教委が小紙報道に対し、如何に防止策を講じたか、対象のT教員に厳重注意を行ったかを説明した。が、前述小中学校長宛生っちょろい通達文を見て分かる通り、この程度の罰則を伴わない指導は画餅以外の何物でもない。この文書の作成日は平成24年3月26日、小紙への説明は29日の午後。市政記者クラブには午前中に公表したらしい。違反事例の発覚が前年12月で、是正指導の公表が年度末。実態調査に3カ月を要する事案ではない。定年退職する校長に傷がつかない様に配慮でもしたのか、年度末のどさくさに紛れ込ませ、新年度には「あれは前年度の出来事」で終わらせようと思ったのか。役人の遣り方の姑息さを感じる。それで問題は解消したのか。ノーである。T教員は周囲に「注意されても構わない、もっとやってやる」と語り、反省の意志は全くない。要は市教委が甘いのである。

 T教員方に11人もの中学生を下宿させ、月額4万円程の"下宿代"を得ているが、「Tの妻がやっているのでTに責任はない」として何の処分も行っていない。いや行いきらないのである。T教員家の家計が厳密に区分されているとも思えないし、区分しているとしたら妻は所得申告しなければならない。区分がなく、上がった"純益"をT教員も遣っているとしたらT教員が申告すべきで、何れにしても所得税法に違反しているのは間違いない。11人中4人卒業したが、残り七人は「生徒の為」として違反を是認して越境入学を認めたままである。義務教育でこんな不平等が罷り通っていいものか甚だ疑問だ。



キャベツ
リンガーハット産地表示なし
福島原発事故後 嬬恋産は暴落していた
JA阿蘇経由で納入の謎
 小紙前号1面の「JA阿蘇波野産キャベツの怪」の主眼は、JA阿蘇が群馬嬬恋産キャベツを波野産として出荷しているとの情報から"産地偽装"として取材に着手。その結果JA阿蘇はリンガーハットと直接取引はなく、中間業者(ペーパーカンパニー)のC農産に納入していると判明した。C農産はリンガーハットに「波野が不作だから嬬恋産を納める」として納入した様だ。リンガーハット福岡本社に行ったが、食材などの購入事務は東京本社に移されていた為東京本社購入担当責任者に電話取材を掛けた。その人物は「その事は知っている。店頭のキャベツ産地表示は、スポットの場合いちいち代えない」と回答した。このキャベツの流れを見るとJA阿蘇→C農産→最終消費先のリンガーハットまでは産地偽装と云えないだろう。

 しかし、リンガーハットは「産地偽装している」と云える。C農産もJA阿蘇も嬬恋産の流通量を公表しないので断定は出来ないが、関係者は「20~30屯は嬬恋産を扱った様だ」と証言している。それだけの量の嬬恋産キャベツを波野産と表示したままであった。昨年3月の福島原発事故後、東北、関東の野菜類は放射線汚染を恐れた消費者が購入を拒否、価格は暴落した。一方で九州産がもてはやされ、キャベツ1個に千数百円の値段がつき、県内各生産者は青果市場に出荷すると共に、急遽トマトなどを作付けた。嬬恋産キャベツも暴落。この時期、リンガーハットが経営する長崎チャンポン店や、関連する、とんかつ浜勝で使用のキャベツを嬬恋産と表示したらどうなるか。客足は遠退くのではないか。

 リンガーハットのネットでは「国産野菜は季節、天候等などの影響により、他の産地から調達する場合があります」と書かれている。産地が変更されたら変更先を店頭表示すべきではないか。産地表示を売りにしているリンガーハットは正確に産地を表示すべきであろう。ここからJA阿蘇に移る。筆者が取材したJA阿蘇の営農課長のS氏は今春の人事異動で他の部署に異動してしまった。僅か1年の在任であった。おかしい。そのS課長と筆者の遣り取りは以下の通りであった。S課長「波野産キャベツはC農産と契約して本年度(23年度)は209屯を納入予定であったが、7、8月の長雨で作柄が悪化、契約量を満たせなかった。

 それで嬬恋産を仕入れて波野選果場で加工用に葉を落して納入した。運賃はJAが負担したが、販売代金から運賃を差引いているので持出しはない。生産農家は7、8戸だが、納入量は各自に任せている。うちの仕事は農家から生産品を預って売る販売業であり、その手数料が収入となる」と話したので「納入先と契約して違約金支払いまで決めているのに生産者とは任意納入はおかしいのではないか」と問うと「C農産との間に赤字は出しているが、不作、安値補給積立金から補充してもらったので持出しはない」「契約量を納入出来ない時は別産地から買って納入量を確保して来た」と説明した。この時S課長は傍線の「嬬恋から仕入れて」とはっきり云ったのである。

 その後、筆者がC農産に出向き、只一人の社員であるH管理部長に取材、H部長は「嬬恋産キャベツをJA阿蘇が直接引く事は出来ないのでうちが引いてやった」と語ったのである。その後S課長に確めるとC農産が仲介していると認めた。筆者が得ている「週に600ケース(6屯)納入出来ない時は週30万円の違約金を支払う」についても前述した「安値、不作」に備えて積立てている資金から補充されるので持出しはないと云ったが、関係者は「間違いなく違約金は払わなければならない。その為に嬬恋産を迂回で仕入れて損失を小さくしようとしている」と確信を持って語る。これを裏付けるように数年前も今回と似た案件が発覚、地元紙が取材に動いたが何故か途中で消えてしまった。経済連関係者は「キャベツに限らずやり方が杜撰な為よく赤字を出している。10年程前キャベツだけで3千万前後の赤字を出した」と語る。C農産のT社長は元福岡県経済連?に居たとかで、その時の人脈で農畜産物他、食材を手広く扱っている。まだカラクリがありそうだ。



 熊本市農水商工局の出先である水産振興センターを震源とした「新入り職員に2人の上司が集たかりまくった」とするメディア報道で「市職員のパワハラ」は全国版になった。発端は、Aが母の財布から金を抜き取った現場を母に押えられ、預金通帳を出させられ、残高が殆どなかったので金の使途を母と祖父から詰問された(Aの同窓生がAから聞いた)。

 以降は推定だが、使途の説明に困ったAが「職場の上司に飲食を奢らされた」と話したのではないか。祖父は怒り、これまで使った金額を分る限り書かせ平成23年11月9日(月)Aを連れ職場に怒鳴り込んだ(周囲ではAの上司3人が不在のこの日を選んだと見ている)。元々変り者と見られている祖父の怒鳴り声は会議室の外まで漏れていた程。慌てた所長が本庁次長に報告、出張中の係長、参事を呼び戻した。その後の経緯は小紙の報道通りで、担当部局と人事課係長らが双方から事情聴取、内容の真偽を確認しないまま、Aの申告を"事実"と解して12月26日他の不祥事3件と共に公表したが、職員のパワハラが初出であり、この頃政府の「パワハラ円卓会議」の公表もあって全国に伝播したのである。

 パワハラについては小紙報道の通り、Aが全て自主的に行動しており強要、恐喝は勿論、パワハラが行われた事実は確認出来なかった。又、Aが「強要されて支払った」のであれば係長が「返金してもよい」と云ったにも拘わらず「金は要らない、私の異動だけでいい」と云うだろうか。この一件で「市役所は役人天国だ」と思った市民も多い事だろう。「パチンコに行くので午後から休みます」「明日はパチンコ店のイベント日ですから年休を取ります」で楽々休みがとれるのである。例え労基法に則ったとしても、民間企業ではこうはいくまい。本庁職員も昼休みにパチンコに行き、玉が出だしたら携帯で「午後年休とります」で打続ける輩が数多居る。こいつらを税金泥棒と叫びたい。



熊本市職員のパワハラ騒動
熊日実態把握ないまま報道
本紙は、人事課が処分を控えた11月9日から12月9日までの1カ月間、当事者と上司、同僚を合わせた出先機関の全職員13人を繰り返し事情聴取していた全容を把握した。その内容に新たな取材を加え、前代未聞のパワハラの実相に迫る。

 右の太字の部分は、熊日24年1月25日付「支配の実相①」のリード後半部分である。「市人事課が事情聴取していた全容を把握した。その内容に新たな取材を加え」とあるが、新たな取材とは一体何か。5回に亘って連続して報道した記事で見る限り、初回の「3人の上司の1人」3回目の「人事課の担当者」5回目「2011年夏の夜、パワハラの被害に遭った若手職員を知人が見掛けた」の知人?。同、パワハラを主導した技術参事(47)らを監督する「上司の1人」。それに敢て予想すれば被害者の祖父か。その他は全て「人事課」が情報の出所である。筆者は直接間接で11人程取材している。報道人として加害者とされている係長と技術参事は取材対象から外せない筈。2人は取材拒否だが元同僚は話したよ。あれだけの連続報道を行いながら、取材源が限られていた為「いか天、すし、焼肉」以外にAが遣った高額な金の使途(数回)を全く把握出来ていない。山口氏と市政詰記者達が一番良く知っている筈だ「役人は不祥事を話す時、相手が知っている範囲だけしか語らない」事を。自分達(組織)が不利な事柄を自ら喋りませんぜ。小紙の様なチッポケな新聞でさえ何度も経験してるんだが…。あれで「全容把握」とは恐れ入った次第。

 第1回の後段「ズーム」「熊本市のパワハラ」で「この職員は2ケ月の静養を要した」とあるが、その間Aは母を自分の車に乗せて食料品の買出しや、パチンコに行っている姿を何度も目撃されている。Aが精神的に静養を要する神経の持主ならパワハラは起きなかったのではないか。Aは新年の仕事始めから出勤。元の職場の先輩らが承認印など貰う為、本庁のAが居る室を通っても全く無視。元上司を見るとパソコンの陰に隠れるのは何故か。Aに疚しさがあるからであろう。実相③2段目中程「係長と技術参事は同じ係長級だが、職権は係長が上。」「人事課の聴取に係長が弁明した『技術参事は異常なまでに厳しく、文案づくりひとつでも度々、若手を叱っていた。そこで参事が休みの日に私に直接、文案を回すよう指示したこともある。ところが後日、参事が、どうしてオレがいない時に回すのか、と言って若手を怒っていた。若手をかばうと倍になって本人に返ってくるのでどうにもならなかった』。係長級2人の力関係の逆転が透ける。」とあるが、これも市人事課某が洩した関係者からの事情聴取の拡大版と見た。水産センターは、担当者―参事―係長―所長補佐―所長の承認、決済ルートがある。Aは直属の上司たる参事に書類を上げ、参事が承認して係長に行くのが正規のシステム。これを係長が「参事はよい、俺に直接出せ」と云ったら組織のルールを破る事になるのではないか。この部分の記事が「人事課」から出たとしたら係長が自己保身で述べたとしか思えない。職員の1人は「あの時は参事が怒って声が大きかったので職場の人は皆知っています。同じ文書の事で参事が何度もAさんを指導していましたが、文書が不完全のまま参事が休んでいる隙にAさんが係長に提出、係長が承認しているのを知って参事が怒った様です。係長が語った熊日の記事は嘘です」と筆者に断言した。
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