村上(寅)県議債権逃れた?
噂は本当だった“資産温存”
熊本県議会の重鎮と云えば聞こえはいいが、単に当選回数が多いだけで重鎮とは云わない。人格識見が具わってこそ云える言葉である。当選回数が多いだけでは“古狸”の呼称が妥当だろう。前置きが長くなったが、その古狸、村上寅美元県議会議長が創業した(株)ヨーマン、九州建装(株)が経営不振から休業状態である。両社併せての負債は15億とも18億とも云われている。大口の債権者である金融機関は勿論の事、一般事業者達も“虎の厚顔”に回収は諦め気味の様だ。ヨーマン関係については後日報道する。ここでは巨大な債務を負っている代表者の居宅、土地が“無傷”である所に注目したい。
10年程前から県議、経済関係者の間で「村上県議がヨーマンの倒産に具えて個人所有の不動産などの名義を変えている」という噂が流れた(蒲島さん、貴方の好きな噂ですよ)。筆者は小紙を講読(年間5万円)して頂いている村上先生の会社が不振であっても経済紙ではないので無視していた。しかし、熊本県発注事業を“喰い物にしている”と確かな情報を得たので「こりゃ5万どころではない」と涙を飲んで前号から村上批判を始めたのである。問題の土地、建物は西区河内町河内に在る。土地は874u。みかん畑を平成13年5月に買い、翌14年12月宅地に変更している。この日付けは、同地に安藤忠雄氏設計と云われる鉄筋コンクリート造陸屋根、1階125u、2階102uが新築完成した日付である。即ち村上氏は地目変更前から住宅の建築を行っていた事になる。建築許可を出した熊本市に責任はないのか。同じ日付で同敷地内に木造瓦葺平屋建193uも落成している。同時に2棟を新築しているのである。金持ちとは羨ましい存在だな。ここからが村上氏の頭の切れる所だ。平成14年12月1日付で登記された安忠建物の方は村上氏の長男(後に死去)名義であった。長男は(株)ヨーマンや他の関連会社の役員を務めていたが、主に村上氏の運転手をしており、数千万円の自宅を新築するだけの収入があったとは思えない人だが。和風の豪邸の方は新築時は村上氏の名義であったが、翌年には村上氏の妻に宅地共ども贈与された。その妻も死亡した為長女Aさんが相続して現在に及んでいる。この宅地、2棟の建物には住宅ローンとして5000万円の抵当権が肥後銀行により設定されていた。連帯債務者は村上氏と長男である。この5000万円の債務は平成27年8月7日付で放棄されている(登記簿上の放棄、解除とは債権者側が貸付金をチャラにすること)。熊本法務局も「返済、弁済ではない、債権者側が債権を放棄した時に記入される」と説明している。
村上県議 尻に火が点いた?
資金稼ぎで“仲介業”活発化
村上寅美県議の「経済的全盛」時代は平成10年頃ではなかったか。(株)ヨーマンをはじめ九州建装(株)も順調に業績を上げていた。これで調子に乗ったか、更に事業欲が出たのか。倒産した「火の国ランド」の跡地を買収、同僚県議らと分譲住宅地の開発を始めた。村上県議の話に乗って一緒にこの事業を始めた県議の建設会社は、これが原因で倒産した。あと一人の県議は宅地事業に詳しく「造成費を考えると売価を高く設定せざるを得ないので売れないだろう」と読んで参加を断った。これが正しい判断であった。完成した分譲地は売れず、重い負債が押し掛かって他の事業にも悪影響を与え始める事になる。さらに平成14年12月に二軒の“豪邸”を同時に建てる挙に出て住宅ローン5000万円を組んだ。しかし巷間この二軒については「設計料は格安、家は無料でT工務店に建てさせた」という噂が流れた。筆者はT社長を知っていたので噂について尋ねたが、T社長は「そんな事はない」と噂を否定した(その後倒産)。(株)ヨーマンと系列会社の債務、経営等については次号で詳報するが、ここでは資金稼ぎの手法を大雑束に述べる。
村上県議の選挙資金などの源は(株)ヨーマンを中心とする系列会社であるが、大方は鰻の輸入と養鰻である。ヨーマンが好景気で伸びたのは地元スーパー寿屋の伸張と軌を壱いつにする。ヨーマンは生鮮食品を一手に納入し利益を上げたが、ヨーマンと寿屋の間にトンネル会社を作って中間マージンを得ていたのは有名な話(須崎社長も同類)。ヨーマンの前身は昭和49年に設立した熊本養鰻(株)で、その翌年に熊本県養鰻漁業協同組合を設立、代表理事に就任。昭和61年1月、肥後養殖(株)を資本金3000万円で設立した(以降同社が銭儲けの柱になる)。平成13年2月資本金を1億2000万円、同5月2億円、同6月2億8000万円。平成14年2月肥後養殖を九州生鮮(株)に名称変更、同3月資本金3億円に増資した。
一方資産の方は肥後養殖設立時、現北区植木町正清に約7000uの土地を購入、鉄骨スレート葺の鰻の養殖場(4プール)を作った。この時熊本ファミリー銀行から1億7000万円の根抵当権が設定されている。翌年伊藤忠飼料と熊本養鰻の間で1億円の根抵当権が設定された。昭和62年10月熊本養鰻と合併した。平成1年6月熊本ファミリー銀行が3億3000万円の根抵当権を設定している。平成4年に熊本養鰻の名称は(株)ヨーマンに変更されたが、何故か肥後養殖は生き続け平成14年に九州生鮮に名称変更が行われている。その後九州生鮮は「うなぎ偽装」が発覚した(平成18年)が、村上県議は「平成5年に営業譲渡して今はグループではない」とメディア関係に語っているがこの虚言は小紙が詳細に報じている。以下次号。
金峰会ゲストハウス
九州農水(株)(娘が社長)に売却
村上寅美県議が公私で“会議室”として使用している「金峰会ゲストハウス」を担保にした借入金や返済について疑惑が生じている。
金峰会は村上寅美後援会名でもある。同所は約100坪の敷地に木造瓦葺平屋建の家が建ち、南側は瀟洒な庭園が造られている。村上氏は、平成4年9月に同地を購入、前記家屋を新築した。購入時熊本市農業協同組合が6000万円の根抵当権を設定しているので購入建築資金の一部に充てられたものと思われる。債務者は村上寅美氏。この抵当権は平成13年12月に解除後平成14年11月26日根抵当権を抹消。同29日7000万円の根抵当権が熊本ファミリー銀行によって設定。債務者は(株)ヨーマンである。
平成21年2月13日根抵当権者が福岡銀行に移転したのは熊銀と福銀の合併によるものだろう。しかし、同日付で福岡銀行は権利を放棄、同18日「根抵当権の元本確定」の登記がなされた。
平成22年4月23日根抵当権の一部移転、根抵当権者が熊本県信用保証協会に替った。同日付で同保証協会が一部代位弁済。弁済額は7326万5601円。所が平成24年3月5日付でこの根抵当権が抹消された。原因は解除。弁済ではないのでヨーマンが返済したのではない。以前から「県議が資金繰りに困ったら県信用保証協会に行く」と囁かれているんだが…。
平成27年6月、この土地、家屋に3600万円の根抵当権者が九州幸銀、債務者九州農水で設定された。7千万の行方は?
和風の邸宅とその裏に建つ鉄筋2階建居宅 |