熊本県民新聞 WEB版
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■ 発 行 所 ■
〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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当選以来2回目のパーティー
業者泣かせの資金集め
 下に掲載のチラシは小社宛FAXで届いた、大西一史市長の資金集めパーティーの案内コピーである。殴り書の文言が送信者の怒りを表しているのがお分り頂けると思う。「MICE」が「MIS」は愛敬だが、桜町地区再開発で大成とJVを組んだ地元企業とその孫請企業の「パーティー券押しつけ」に対する怒りの声と読んだ。この情報は他からも寄せられているが、一企業当り10~20枚が多かった。恐らく個人を含め数枚~数十枚の購入(参加)の「お願い」を行ったものと見られる。案内先は「大西一史後援会員」は当然として建設、解体、電気、水道、事務用品会社、市議、町内会長、校区自治会長にまで及んだと聞く。案内文の下部は「入場チケット」になっていて本文スペースが少なく、文字が小さいので読めないと思われるので以下に書く。

「ご案内(これは字が大きい)謹啓 復興に向けての御苦労衷心よりご察し申し上げます。また、熊本市長は勿論のこと全国からの物心両面にわたり多大なるご支援を賜り、誠にありがたく心から御礼申し上げます次第です。熊本市では、昨年10月に平成28年熊本地震からの復旧・復興に向けて、『熊本市震災復興計画』を策定され、この明治22年熊本明治震災以来の大災害へ立ち向かい、1日も早い復旧・復興に向けて全職員一丸となって邁進しています。つきましては、かねてよりお世話になっております皆様方と親しく歓談、現在の状況などをお話しいたしたく下記により春の集いを催したいと存じます。ご多忙中の折とは存じますが、今回は特別な会でございますぜひご出席くださいますようご案内申し上げます。なお、多くの知人の方をご紹介いただければ幸いです。謹白」

行を落して「平成二十九年三月 大西一史後援会」となっている。

 文章は横書きの10段。文案は後援会担当者が作成したものと思うが、大西市長が目を通していない筈はなかろう。文章の未熟さ、内容の“支離滅裂”さに驚いた。

 2段目「また、熊本市長は勿論のこと全国からの物心両面にわたり多大なるご支援を賜り…」とあるが、これだと「市長が先頭に立って後援会を支援した」としかとれない。4段目から6段目まで「熊本市は…全職員一丸となって…」は多分市の職員の事を指していると思うが、市長の「後援会」が発する言葉ではない。9段目「…今回は特別な会でございます…」これはよく分る。本震1年と1日違いで、この様な会を開く事自体「特別」である。全ての業界と云っていい程復旧に携り、猫の手も借りたい時期に“資金集めパーティー”を開くなど、普通の神経の持主であれば出来ない事柄である。「大西は変り者」と云ったベテラン県議氏の言葉の意味を知った一事であった。  「…かねてよりお世話になっている皆様と…」ときたら「一献差し上げたく…」と、大西君が一席設ける場面で遣うものなんですよ。被災者に立食パーティーを開いたら?。



パー券4千枚以上捌く?
出席者1,100人前後
  前記案内文は「大西一史後援会」となっているが、下の欄では「主催/大西一史春の集い実行委員会」となっている。この名称の違いは分からないが、事後の売上げ金処理に絡んでいるのか。

 日時は「平成29年4月17日受付開始午後6:00より 開宴午後7:00」場所は「ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ2階『ストリングス』」。「会費10,000円」以下振込先など。その中に「尚、振込時に、ナンバリングの番号も合わせてご入力下さい。ナンバリングはチケットの表面に記載されております」と記されている。上掲のマジックインキ右下の横線がそれで、0が頭で、その後に4桁の数字が打ち込まれている。筆者が確認したのは最高が3000番台後半であるので、少なくともそれ以上のパーティー案内が配布されたものと思われる。メインルームは案内状の「ストリングス」だが、この室はテーブル席の場合800人、詰めて900人余である。この日は隣人と肩が触れる程詰められていたという。「ストリングス」に入りきれない人達はロビー横の「アンダンテ」をあてがわれた。合計1,100人余りで、案内状持参、又は送付後の電話で「10枚お願いしたい、来るのは1人だけでもいいですから」を少し緩く解釈したとしても数千枚のパー券が捌けた事になる。又「打込んだナンバーを記入せよ」も届いた側に無言の圧力と感じる。番号と案内状送付先が一致、参加、不参加が判る。それを忖度して零細土建業者までもが参加するのである。

 案内状に「※この催物は、政治資金規正法八条の二に規定する政治資金パーティーです」にある通り違法行為ではない。だが熊本市の取引業者は何百社とある。「この案内に行かなかったら取引が停止、又は縮小されるのではないか」と不安に駆られる業者が居ても不思議ではない。市長職を金儲けの手段と勘違いしている市長など熊本市には不用です。



資金集めパーティー
九州の県庁所在地の市は?
  大西一史市長の資金パーティは今回で2回目である。初回は当選した翌年(昨年)の4月11日午後7時から今回と同じ熊本ニュースカイで開いている。当選祝賀の意味もあったと思うが、出席者は市役所の出入り業者が多かったと聞く。参加者も「今回より一寸少ない位だった」と云われる程盛会であった。今回も同様「大西、来賓の挨拶が終わったら1割位帰った」とは参加者の話。すぐ情報が寄せられたが、「初当選直後だから」と取材を見送った。そして今年もまた、である。「市長のポストを利用した資金集めで悪質、来年もやるだろう」と判断したので取材に動いたのである。九州内の県庁所在地の市長はどうかと思って各県に聞いた。その結果福岡市は「市長には政務活動費がないので資金パーティーを開いた事がある」とすっきりと回答した。他県は大分待たされて回答したり、長く待たせるのでこちらが切ったら翌日回答して来た県もあるが何れも「開いた事はない」であった。この事実を大西市長に伝えたい。





 前号で現下の建設業界と解体業界について記したが反響大だった。前号では紙面の都合で省略したり、書ききれなかった部分をここに記したい。初冬号2面右下、「県・熊本市の公共工事政策」の最後の部分を詳報する。「一方で県は入札不調が続く中、指名入札をせず…」はこうだ。かつて熊本県土木部監理課(以降監理課)の存在は絶対であったが震災以降立場が逆転、これまでぺこぺこしていた建設業者の立場が強くなった。県は国からの補助金で予算を組んだが、年度内に消化出来ず大分繰越している。が、これも1年限りの為何とか消化(発注)したいが、業者側も手持ちを抱え余裕がない。発注下限もA1(エーワンと読む)の9千万円は変わらないがA2は5千万を7千万円に限度を引き上げた上、大きな事業はA1とA2で組む事を認めた。それでも受注を固辞する業者が跡を絶たない。そこで考えたのが指名入札をせず「総合評価方式」をとって業者に押し付けるのである。A1業者の持点を10点とし、1本とる毎に減点して3本とると0になる仕組みだ。その上、1本は1本で、不利な工事でも1本に計算される。正確な数字を挙げると業者を特定されるので大雑束に示すが、「3本とって数億円の工事をしたが、精算したら数千万の赤字であった」と某業者は語る。それでも請けるのは「特需が落ちついた後」を考え、泣く泣く監理課の無理を聞いている状態。県は柔軟に予算を組んではどうか。



 西日本一のバスターミナルを謳って開業した「熊本交通センター」と共に熊本進出を果たしたのが、福岡市に本店を置く岩田屋百貨店である。同店は熊本交通センターの核として岩田屋、伊勢丹、交通センターの3社が4億9千万円を出資して昭和47年に「岩田屋伊勢丹」として創業した。当初は経営状態も悪くなかったが、マイカーの普及でバス利用客が減少、加えて郊外に大型スーパーが進出、客足は減少の一途を辿った。赤字続きに嫌気して伊勢丹が撤退、平成5年3月「熊本岩田屋」として再出発したが業績の回復は難しく、岩田屋本店の業績低迷もあって平成14年熊本岩田屋が撤退を表明した。これに危機感を持った地元の有志が「鶴屋一強になる」と出資者を募り「県民百貨店」を創業した。資本金は4億円。初代社長はシアーズホーム社長の丸本文紀氏が就いたが、同氏の公私混同、社員の待遇等の不満が爆発。労組代表が辞任を求めて融資先銀行に訴える騒動が勃発して丸本社長は辞任。後任社長には松本烝治氏が就いたが、寄り合い世帯の内部の統一が出来ず、業績も低迷していた最中、再開発案が浮上したのである。再開発後も県民百貨店は再入居したいと交渉はしたものの、同店の敷地は殆ど借地で発言力も弱く、産交Hが要求を飲む事はなかった。それでも産交H側は第三者機関に鑑定を依頼、同機関が出した案を県民百貨店側に示したが、納得出来る条件ではなかった。産交H側も再開発後に百貨店を入れる計画はほぼゼロに等しく話合いは平行するばかりであった。双方が雇われ社長という決定権を持たないのも一因であったと思われるが、交渉場所は熊本、福岡、東京と夫々の都合もあって場所を変えながら交渉は続けられた。県民百貨店側は社員の雇用確保の意味もあって再開発ビルへの再入居を求める。産交H側は、強い商業性と安定した事業性を再開発ビルに求めている為、平行線が交わることはなかった。再開発事業の進行にも支障が生じかねないとして双方が妥協したのが決定権を持つ者のトップ会談であった。

 平成26年㈱県民百貨店の大株主代表と産交Hの大株主であるHISの澤田秀雄会長との会談が実現した。その結果、再入居条件が合わないとして県民百貨店側が再入居せず「転出」する方向で意志表示、㈱HIS澤田会長もこれに同意した。その後は「転出」に伴う補償金について「九州産交ランドマーク㈱(産交H子会社)矢田素史代表と県民百貨店代表が協議を行った。これに並行して第三者機関が補償額を算出、これに県民百貨店側の要求額を加えた総額約30億円で決着を見たのである。県民百貨店は役員会、株主総会の承認を経て平成27年1月から清算業務を開始した。関係者が口を閉ざしている中で入手した資料の為、数字は正確さを欠く部分もあると思うが御容赦を。

 給与引当金(月支給額の2年分)11億7500万円。店舗閉鎖(テナント)補償金7億8000万円。借入金(みずほ、三菱UFJ、商工中金)3億2700万円。役員退職引当金9000万円で、残額は“残余財産”として資本金出資金の全額返却、株主配当金に充てられたが、額面の約2倍が支払われた模様。又、赤字会社が役員退職金を出すのは如何かとの意見も出たらしいが総会で可決され、松本社長は6千数百万円を手にしたと云う。赤字会社が倒産すれば株券は紙切れだが再開発事業のお陰で株主は大儲けであった。



桜町再開発ビル建設JVの頭
大成建設 福岡地下鉄陥没事故
  桜町再開発ビル建設が本格化して来た。正しくは「熊本都市計画桜町地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事」という。発注主は産交ホールディングスの子会社「熊本桜町再開発会社(矢田素史社長)」で、受注したのは鹿島と大成の2大ゼネコンだったが、何故か鹿島が下り大成が全建設を請負った。ゼネコンは高度の技術を持ち、多くの事業を手掛けているが、実動部隊は夫々の地元有力企業である。大成が傘下に入る企業を求めて案内書を送付した前後の出来事は小紙盛夏号で詳報した。その後地元3企業が応じ大成を頭とするJV(共同企業体)が成立、本年1月から工事に着手した。

 大成建設は全国で各種工事を行っているが、現在のメインは東京オリンピック競技場で、ここに総力を注入していると云われる。それが原因でもあるまいが、桜町地区再開発工事も苦戦していると云われ、予定通りの完成を危ぶむ声も出ている。又工事現場での事故も、テレビ、新聞で報じられており企業体質の在り方が問われている。その1は、昨年11月8日早朝に発生した福岡市博多駅前の市道陥没事故である。福岡市発注の市営地下鉄(七隈線の延伸)工事中に市道が大きく陥没した。事故が早朝だった為人や車が巻き込まれる事がなかったのは不幸中の幸いであった。大きな陥没事故であったが、市と業界が一丸となって復旧工事に当り、僅か1週間で仮復旧した実績は国内外から高い評価を受けたという。しかし、仮復旧11日後の未明に道路の沈下が発生した。大成を頭とするJV側は「沈下は予想していた」と発表したが、この発表は沈下が始まって9時間が経過していた。この点についてJV代表の大成建設九州支店秋里土木部長が「今後情報発信のあり方について検討させていただきます」と弁明しているが、「8日の事故発生以来、大成建設の口は一貫して重く、自社だけではなく、関連会社に対しても箝口令を敷いた…」(産経新聞11月27日号)と報道されている。陥没事故は、第三者委員会でもJV側の責任を厳しく挙げている。こんな企業が再開発ビル建設に携わって大丈夫か。



 昨年の初冬、熊本市が熊本城二の丸広場に設けたステージで、かつて一世を風靡したザ・イエローモンキーの 「熊本復興ライブ」 が催された。 「イエモン」 の愛称で親しまれたこのロックバンドは平成16年に解散したが、10年後の昨年1月に再結成されたもの。 大西一史市長は大学生時代にこのメンバーと親交を持ったという。 恐らく、その縁で熊本地震復興ライブが実現したのではないか。 無料ライブという事もあって1万数千人のファンが押し掛け、公演は大いに盛り上がったらしい (らしいとの表現は筆者は観ていないから)。

面白いことに熊本市はこの公演について市政記者クラブに 「出演者側の希望で公演の撮影は出来ません」 (某新聞記者の話) と通告があったという。 その時は理由が不明であったが、公演直後から 「イエローモンキーライブで大西市長がドラムを叩いていた」 という噂が広がった。 それで記者クラブの全員が知る所となり、筆者の耳にも届いた。 市の職員からもこの情報は寄せられたが、多くの職員はこの記事を見て知る事になるのではないか。 某職員は 「私もイエローモンキーが好きなのでライブに行きました。 熱心なファンがいい場所を占めていたので後方に居た為、舞台はよく見えませんでしたが近くのシネビジョンを見ていて大西市長がドラマーとして出ているのが判りました」 と語る。 大西市長は公演の冒頭2、3曲 (1曲かも) ドラムを叩いた後、メンバーのドラマーに交替した様だ。 写真はユーチューブからの物で、設備の陰で顔は写っていないが白ワイシャツ姿の大西市長が映っているのが分る。

何故大西市長はマスコミを締め出したのか。 ライブの入場料は無料で 「熊本復興ライブ」 と謳っているが、アゴ、アシ、出演料 (格安らしい) は熊本市が復興事業の一環として支払ったと聞く。 イベント担当課に聞いたが 「市主催以外はここでは分からない」 としか答えない。 イエローモンキー側が全て負担したのであれば 「善意の震災復興支援ライブ」 と云えるし、それに“友情出演”した大西市長も問題はない筈。 腑に落ちない出演であった。



大西市長 謝罪のコメント
本震後の家族・市長室の避難生活
昨年6月20日付小紙1面で報道した 「大西市長の家族が本震後市長室で避難生活」 については市民から怒りの声が寄せられた。 同問題については井芹秘書課長に裏付け取材を行った。 その時の対応は同紙で書いたが、筆者の問いに井芹課長は 「それが何か問題ですか」 である。 同問題について本年の3月議会の総務委員会で追及した。 以下は熊日平成29年3月17日付 「市政記者室」 欄に囲み記事で報道されたので引用させて頂く。

「熊本地震から11カ月の16日。 熊本市議会総務委員会で北口和皇氏(自由クラブ)が、大西市長が本震後、家族を市長室に連れてきていたと批判した。 『避難してきた市民はロビーで寝泊まりしていたのに、公私混同ではないか』」 ○…委員会に出席していない市長に代わり、秘書課長が回答。 市長は本震後、妻が運転する自家用車で登庁。 妻と長女はそのまま10日前後、体調不良だった市長に“世話役”として滞在したと説明した。 『避難ではなく、あくまでも市長の世話のため。 あの非常事態時では、最良の選択だと判断した』 と理解を求めた。 ○…他の委員からも 『市民感情への配慮が足らなかったのでは』 と声が上がった。 委員会の指摘を受け、大西市長は 『震災直後に多くの市民が大変苦しい状態におかれていたことを考えると、配慮が足りなかった。 率直におわびする』 とコメントを出した。」 以上であるが、井芹課長の 「避難ではなく市長の世話のため最良の選択だと判断した」 とは詭弁。 妻子が身近に居るのは、緊急事態にあって邪魔な存在である。 「市長の世話のため」と云うが、市長夫妻と子供の3人の食事の世話など 「女子職員が交替で世話を焼いていた」 事実を何と答えるのか。 家族の存在を市幹部は勿論、守衛さん達も小紙報道まで 「全く知らなかった」 のは何故か。 聞く所によると 「市長夫人は極端に地震恐怖」 だったとか。 別な情報では 「市長の家族は4月28、29日頃まで居た」 との声もあった事を付言しておく。


焼肉店、タコ焼店が営業出来るのも不思議である



 通称国立病院 (正確には 「国立病院機構熊本医療センター」) は熊本城二の丸広場の南側に在る。 数年前改築され建物は最新技術が採り入れられていると云う。 同院は550床あり、入院患者が治療を受けているが、二の丸広場に市が謂う所の“仮設ステージ”筆者が云う“常設ステージ”が出来てから 「音を出す行事が増え、時としていらつく患者が居る時もある」 と某職員。 新建物になって防音効果は相当上ったと云われるが、日中気にならなかった音響も夜間に聞くと 「気が散る」 存在になるという。 ロックバンドに限らず昨今の若手歌手の公演は音と光の演出が多い。 出力数キロワットのアンプと大型スピーカーから出る音は半端ではない。 熊本城は国から 「特別史跡」 の指定を受けている為、管理する市と雖も勝手に現状変更や施設の設置は出来ない。 市が謂う所の 「二の丸仮設ステージ」 は市が委嘱した文化財保護委員会が昨夏承認した案件だが、昨年9月に設置、18カ月間を使用期間としている。 筆者が“常設”という所以である。 被災者用住宅とは存在意義が違うのである。 富裕層は別として今も生活、住宅に不安を持つ被災者は多い。 近くには入院患者や、医療を受けている国立病院がある。 こうした環境の中で歌舞音曲に重点を置いた“常設ステージ”は1日も早く解体すべきであろう。 施設がある為催事が計画されているのではないか。 「復興支援」 も一部趣味人を満足させるだけに終わっている感を強く持っている。



荒稼ぎの蔭で事故続発
解体工事業協会指導届かず
熊本のシンボルとして全国的にも知名度が高い熊本城も先の熊本地震で史跡の石垣を始め多くの建物が被災した。 中でも天守閣の瓦が落下した映像をテレビニュースなどで視る度に心が痛んだ。 大西市長が復旧事業として他に優先して決めたのも観光の目玉としての存在が大きかったからであろう。 復旧工事は大林組が請け、天守の一部解体は大林が前田産業に発注した。 今春解体工事が始まって程なく 「前田の人夫が転落、3カ月の重傷を負った」 との情報を得た。 すぐテレビ、新聞に気を付けていたがどこも報道しなかった。 事故を知らなかったのか、知っていて報道しなかったのか。 事故後前田産業は社員を始め関係者に箝口令を敷いたが、情報は漏れた。 県警もこの事故は把握している。 熊本市民に愛されている天守閣での事故である。 県警、労基局が公表して当然と思うのだが…。 労基局側は 「事故の通報があれば現地に行って確認する事もある。 企業側にミスがない事故は指導などの対象にはならないし、他の事故でもこちらが積極的に公表する事はない」 と云う。 前田産業を有名にした“事故”がある。 東区内の民家を間違えて隣家を解体した件である。 ちゃんとコンサルなり、監督者が立ち合っていれば起きなかった案件であろう。 最近も東区の旧公務員宿舎の解体工事現場でもトビ職人が転落、救急搬送されている。 元請は前田環境クリーン (前田一美社長) だが 「実質前田産業が采配している。 木村社長は 『軽い事故だった』 と周囲に釈明しているが骨折事故だ」 と関係者は証言している。 ここで横道へ。

前田産業の前田会長は男3人兄弟の2男、3男が暴力団旧山野会の幹部であった。 前田会長、長男のT氏が山口系S組の組長と親交を持っていたのである。 現在も木村社長は同組2代目と親しい。



八代市でも人身事故
協会長会社が元請の現場
協会の責任を問う声
解体現場での事故は、何も熊本市だけではない。 益城町、宇城地区、八代市も発生している。 その多くは現場に経験豊富な職人不在が指摘されている。 熊本市でも10数件は把握していたが、実体はその10倍と云っても過言ではない程多い。 労災保険支給を調べれば正確な数字が分るが、労働局が 「プライバシー」 を理由に答えない。 小紙としても事故の全てを知る事は不可能だが知り得た重傷事故を報道しているのである。

八代市での事故は、一般社団法人熊本県解体工事業協会理事長小原英二氏が社長を務める大東商事(株)が元請の現場である。 八代市在住の建設業者によると約40,000円 (坪単価) から協会が8%、3200円ピンハネして元請へ。 元請は約7,800円ピンハネして下請に丸投げしているという。 下請は4,000円ピンハネして孫請に発注、事故はこの孫請の現場で発生した。 倒れた材木の下敷きになったらしく、2人が救急搬送され1人は集中治療室で治療を受けたが、幸い生命には別状はなかった様だと云う。 この事故について告発者は 「この様な人身事故が起きたのに一切報道がなかったのは何故か。 下請のAN建設は手数料をピンハネしたのに孫請の工事現場に監督を派遣せず、事故が発生した際も工事現場が何処なのか知らなかったのは無責任だ。 解体協会は、この様な事故を起こした業者は罰せないのか (元請のこと)」 と疑問を呈している。 小紙がこれまで報じた内容とほぼ同じ様な疑問だが、この告発者は小紙を読んでいないらしく、この様な疑問を寄せたものと思われる。

熊本県解体業協会は県内の解体業者20社が加盟しているが、その半数が理事という構造で 「何でそんなに理事が多いのかは不明」 と協会員でさえ理解していない。 告発者は 「こんな事故を起こしても何ら罰せられる事もなく、公費解体を続けられるのはおかしい」 と正論を唱えているが、倫理、公徳心に欠けた人物が業界を牛耳っているのである。 正義を求めるには無理が多過ぎる。



荒稼ぎで金余りの解体業協会
口封じか・テレビ局、新聞社に広告攻勢
未曾有の熊本地震の発生で県下の解体業界、建設業界はこれを千載一遇のチャンスと捉え荒稼ぎに余念がない。 稼ぎのトップは云うまでもなく前田産業(株)である。 地震前までは小紙でも報じた様に年商60~70億円であった。 地震発生から1年余の現在 「手持工事高は200億円」 と豪語している。 震災が齎もたらした需要の大きさが分かろうというものだ。 しかも同社は建設業者に公共工事を配分する 「熊本地震復興対策本部」(熊本市中央区上通) の職員10人前後の内6、7人を自社から派遣しているのである。

これでは工事の発注先は思うがままであろう。 10社の理事が居る訳だから各社から1人ずつ出したとしても夫々が専門家であり、配分に支障が起きる事はあるまい。その理事も2、3社を除いて前田産業の取巻きばかりである。 反社会勢力と濃密な関係を前田産業が築いているのを皆知っているので前田産業が怖くて抵抗出きないのである。で、本題。同協会が不当に高く手数料を取っている為協会には金がだぶついている、一般社団の為儲けを理事や、協会員で山分けする訳にもいかない。 そこで考え出したのが協会員の慰安旅行で、これは先頃シンガポールに豪華ツアーを行った。 次はマスメディアへの広告である。切っ掛けは前田産業元請の解体先を間違えて隣家を壊した一件と聞く。これをテレビ、新聞は大きく報道した。「これらのメディアを抑えるのは広告が第一」と考えたかどうかは不明だが、急にテレビでコマーシャルが流れ、地元紙には2面見開き大全面広告が打たれた。 仕事が有り余っている事業体が広告を打つ必要があるのか。 その金額を被災者に還元しては如何。
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