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〒861-8034
熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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 木原稔衆院議員(4期額賀派)の私設秘書Gの評判が頗る悪い(Gを本名で書いてもいいんだが、取材した元妻から「別れたといっても元夫ですから実名を避けてほしい」と云われたので意志を尊重した)。Gは市立必由館高校を卒業後福岡の各種学校に学び、イベント会社に勤務していた時、故人の元市議嶋田幾雄氏から紹介されて木原事務所に公設秘書として勤務する様になった。

 木原氏が衆院議員選挙で初当選(比例復活)したのが平成17年9月の「小泉郵政選挙」である。木原氏については別欄で記すが、当時自民党市議団の実力者であった嶋田市議が強力に木原氏を支援、当選したものの右も左も分からない木原氏を助けてGを秘書として送り込んだと、当時噂に上ったのを記憶している。そのGだが、当初は周囲に気を使って細目に動き木原氏に重宝がられた。加えて木原氏の秘書の居付きがよくなかった為、いつの間にか秘書長のポストに付いた。女性関係については「ルーズ」と他の代議士秘書の間で噂に挙がっていて、筆者も数年前木原氏の別の秘書から直接聞いている。で、問題のRKK元アナはKAさん。この女性は余程情が深いのか社内恋愛も盛んで、Sアナとの不倫がばれてフリーランスの記者に“降格”されたという。

 上の写真の右側の男性がG、左端にフードを被って白いスカートの女性がKAさんである。平成29年11月8日の深夜、中央街のラブホテルから出た所を撮られてしまった。所で小紙がメディア関係者の不倫、セクハラ問題を報道するのはこれで数回になる。同じRKKでは熊日も報道した社長室長と女性社員のセクハラ問題がある。その女性が“くまモン”と不倫した件を取材した際「社会問題化した張本人だから当然RKKは解雇した」と思っていたら子会社の「RKKプランニング」に在職していて驚いた事がある。先に報道したKKTの社長、部長のセクハラ、パワハラ。それが原因で退社して自立したMアナは各イベントに引っ張り凧という。熊日も多彩で、幹部のHと元記者の不倫は現在も続いていると云われ、他にAとMなどの不倫を耳にする。

 本題に戻る。Gの女性関係はKAさんだけに留まらず、木原氏の有力後援者であるF物産の長女M(離婚歴・子供2人あり)とも男女関係が疑われている。MはGより10歳前後年上と見られ周囲には「Gとは友人関係」と説明している。しかし、別欄でも書いているが、Gが妻に無断で離婚届を届出た際保証人として名を連ねているので、友人としても“相当深い仲”の友人であろう。この他秘書のIと深夜車の中に居たとか女性関係の噂が絶える事がない。所で妻へのDVであるが、これはGがまだ公設秘書の頃の出来事である。妻がGの言動を注意した所突然Gが怒り出し「殴る蹴る」の暴行を受けた為110番してその時はGが謝罪して収まった。その後も酒が入って気に入らない事があると暴力を振るうので北署(現中央署)に通報している。同署も代議士秘書でもあり、すぐ謝るので立件には至っていないという。



木原事務所の金銭管理杜撰
秘書長の口座に不明金入金
 木原稔氏が衆院選挙に初出馬したのは平成17年9月の「小泉郵政解散」を受けての衆院選挙であった。熊本1区は県議出身の岩下栄一氏が1度当選を果たしたが、その後2回の選挙で民主党公認の松野頼久氏に負け続け、票差も開くばかりであった。かと云って岩下氏に代る人物が現れず、困った自民党熊本県連は公募に踏み切った。最終選考に残った数人の中から「ルックスもよく、経歴も申し分がない」として選ばれたのが木原氏である(後に木原氏が民主党県連の公募に応じていた事が判り、一部幹部は節操がないとして第2候補と入れ替えも考えたが、準備も進んでいた事からこの案は実現しなかった)。自民県連は次回衆院選を1年先と見ていて、その間木原氏の知名度を上げていく戦術であったが、小泉首相の突然の解散選挙に慌てた。幸いにも小泉旋風のお陰で木原氏は選挙区では松野氏に敗れたが比例区に救われ初出馬初当選を果した。以後松野氏の所属政党の変更などの不手際で地盤を確かな物にした。木原議員については別の機会に譲りGに戻る。

 前述の経過で木原稔衆院議員が誕生し、熊本事務所も設けられ秘書を始め事務所長が置かれた。現在の事務所長は勝久卓治氏、Gより年上だが、秘書長のGには頭が上がらない。秘書団はGを頂点に在職歴7~8年の№2と新人2人。女性陣は経理担当のパート二人と秘書一人だが、この女性秘書は「キャバクラ上り」と云われ、Gの不倫相手の一人と目されている。Gの月収は総額約30万円で実支給額は20~22万円と見られる。

 Gの収入は妻が管理、1日2千円がG名義の通帳に振り込まれる。所が昨年の衆院選の開票日である10月22日付で20万円の入金があっている。通常は1日2千円の振込みがあり2~3日置きに8千円か1万円が引き出されているが、この20万円の入金の2日後に5万円、6日後に2万円が引き出されている。更に11月2日に5万1千円余が入金されている。11月1日2万円、同10日6万円、12日2万円、14日8万円が引き出され、この日の残高は1683円となっている。筆者の手許には以上の通帳のコピーしかないが、この他にも定期収入以外に高額の入金があっているという。又Gの財布には数万~10数万円程の1万円札があり「私も不思議に思っていました」と元妻は語る。

 木原議員の吝嗇振りはよく知られており、ある神社の玉串料が2千円だったという話も聞く。事務所経費も抑えられており、秘書達が木原議員の代理出席した際も会費分は出るが、2次会などは個人持ち。公設秘書のガソリン代は個人の負担と云われる。



G 妻に無断で離婚届
保証人は噂の女性
 Gはつい最近妻に無断で離婚届を提出、受理された。妻(以降Aさんと呼称)は役所からの通知でこれを知り自ら確認した。この届けについてはGとRKKのKさんとの不倫を知った後、Aさんが離婚を決意して離婚届に自著してGに離婚を迫った。

 しかしGが「今後は酒も女性関係も慎むから」とAさんに頭を下げたのでAさんも「もう一度遣り直そうと思い、いつの間にか忘れていた」物である。その後もGの素行は治る事はなく、苦情を云えば暴力を振るうので今年9月頃別居話が出てGは家を出た。その後のGはホテルキャッスルなどに連泊して自宅に寄り付かなかったが、その様な状況の中で離婚届を提出した。提出するに当たってはAさんの承諾を得る必要があるが、Gはその確認を行っていない。加えて保証人に名を連ねているのがGの不倫相手の一人と目されているFさんである(GがFさんのマンションから出てくる姿を目撃されている)。

 怒り心頭に発したAさん、目下法的手段を考慮中と云われる。ここで問題なのはGの資金で、家を出て1カ月以上ホテルキャッスルに数週間、その後アークホテルに移ったというがこの金の出所は?木原代議士もGの言動を最近把握、苦慮しているという。




 去る3月28日熊本地裁は、殺人罪で服役した宮田浩喜さんの再審で無罪を云い渡した。事件は昭和60年1月現宇城市松橋町で将棋仲間を小刀で何度も刺して殺したとされる。宮田さんは殺人罪で懲役13年の判決を受け上告するも、最高裁は上告を棄却、宮田さんは服役した。

 出所後宮田さんは多くの人権派弁護団に支えられて再審を請求、平成28年熊本地裁が再審決定、熊本地検は即時抗告を行うが、高裁、最高裁は地裁判決を支持、無罪判決が決定的となった。その原因の一つに検察側の“証拠隠し”がある。犯行時、宮田さんは「シャツの袖を切り取って小刀の柄に巻き犯行後袖を燃やした」と自供。その燃やした筈のシャツを弁護団が検察の保管証拠品の中から見つけ出し、無罪の証拠とした。以上はメディア各紙の報道から得た筆者の“松橋事件”の知識である。

 不思議に思い、納得出来ないのがこのシャツの件りである。場数を踏んだヤクザなら血糊で手が滑らないように小刀の柄に巻く話は講談本で読んだ事があるが、知人同志で、しかも「ののしられた」為に起こした素人の犯行で、そこまで知恵が及ぶものだろうか。最近の犯罪捜査の様にDNAを始め、防犯カメラなどなかった時代の犯行だ、自供を証拠として重視するのは当然であろう。疑わしきは罰せず、は人権派の常套句だが、被害者側の無念は誰が晴らしてくれるのか。霊は宙を漂うしかないでは悲しすぎる。



これだけの嘘がある
坂本施設長発言に疑問の声
市高齢福祉課・坂本氏に肩入れ
 小紙平成30年6月号で社会福祉法人「敬人会」特集を行った。その際筆者が坂本総理事長に直撃取材した際の遣り取りを記した。1時間余に亘る取材だった。一般市民には知名度が低い小紙だが、官公庁では硬派の「ミニ新聞」として知られ、一部の者からは恐れられ、一部の者からは嫌われる存在だ。

 取材の当初坂本理事長の顔は強張っていた。が筆者の優しい物云いと態度に次第に緊張が解けてきたようだ。この場の遣り取りは6月号2面で、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を捩もじって「坂本理事長かく語りき」の見出し。「巧言令色鮮し仁 筆者を煙に巻く」で詳しく述べたが、発言の多くは事実と異なるものであった。その後敬人会関係に確認したり、入居者からの電話、一般市民からの情報などを併せて本号で坂本理事長の虚言を暴く。一部は6月号で報道しているので重複した所もあるが、事実と坂本発言の違いを証したい。

 ここで筆者の取材精神と云うか遣り方を述べる。先ずは事前情報を得ていても取材相手には白紙で臨む。取材相手の云い分は後日裏付けを取り、齟齬がなければそのまま報道する。虚偽を話していたら倍返しの報道となる。今回の坂本理事長からの取材内容は多くの関係者が一斉に「それは嘘です」と発言、一つ一つに詳しい説明があった。他にも入居者の何人かから電話や手紙を貰った。その一人、小紙で「97歳の男性が玉子掛けごはんを食べる。『私が体によくないのでそれはやめなさい』と坂本理事長が云っていた」と書いたが、小紙を読んだと云って「あの中に書いている97歳の男性は私です。書いてもらって有難うございます。私が三度三度玉子を掛けるのは食事が不味いからです。玉子でも掛けないと食べられるものではありません。コンビニ弁当を買って食べる事も再三です」と年齢に似合わぬ元気な声で云ってきた。

 又複数の入居者から「食事が外注されだして不味くなった。元の様に美味しい食事を提供してほしいと書いて“意見箱”に入れても梨の礫で、理事長は完全無視を続けている」と訴える電話も頂いている。同様の趣旨を書いて入居者の八割以上の署名を添えて熊本市に「指導してほしい」と陳情したが、市は「施設の問題」として片付けている。これで坂本理事長が云った「食事に不満を持つ入居者は一人」と云った嘘が崩れる。同じく筆者が「職員が組合を作ったのは貴方からのパワハラ、雇い止めから身を守る為と聞いたが…」について坂本理事長は「各施設の職員同士にトラブルがある。それを私の所為にしているのだ」についても何人かの職員に聞いた。確かに職員間でトラブルがあった(ある)が、それは坂本理事長の指示に唯々諾々と従い、会の正常化を目指す所謂“反坂本派”に嫌がらせをしているからである。それも一方的なもので「一種の“パワハラ”で、トラブルより“いじめ”に近いと思っています」と関係者は話す。

 坂本理事長は前理事長を敬人会から排除しようとした事から裁判沙汰になっている。この点について「仲直りはないか」と聞いた筆者に「梅田側が門戸を閉じている」と答えた坂本理事長だが、梅田氏の云い分は全くその逆で「いつでも門戸は開けている」であった。またまだ坂本発言については虚言があるが、紙面の都合上今回はこの辺りでやめておく。



入居者の楽しみ奪った食事
赤字解消で質・量無視
 敬人会が運営するケアハウスやサービス付き高齢者住宅の入居者が一番楽しみにしているのが3度の食事である。

 前理事長時代はこの食事を重視して自前の調理師2名を雇用していた。寿司屋や、和食専門店で経験を積んだベテランが作る味は3食とも旨く、食べ残しは殆どなかった。しかし坂本純氏が理事長に就いてから「施設の黒字化」を重視する余り、2人の調理師の給料が高いとして雇い止めして自前の調理を中止、外部委託に踏み切った。敬人会は12の施設を運営しているが「29年度は全体の収支は黒字」と前理事長は主張。対する新理事長に就任した坂本氏は「赤字経営」と主張。黒字化を目指す一環として2名の調理師を雇い止めした。その上で「各施設長の給料は25万円~30万円と安かったので、2人の調理師分で浮いた金で施設長らの給料を上げたのです」と説明した。他部門の昇給の為に2調理師を馘にしたのである。

 外部委託に関しては市の指導(星峰会時代)もあって、4業社による競争入札とした。1番安値を入れたのが「和げん」である。入札、選定については別欄に記しているのでここでは省略するが、「和げん」は初代理事長東三起夫氏が運営していた「望星」の調理部門で働いていた従業員が独立して開業した調理会社である。入札に参加した4業者の中で1番歴史が浅いが「価格が安い」だけの理由で同社が落札。和げんに代わった途端、食事の味が落ち品数も少なくなったので不満が続出、しかも掲示の写真に見るように5月9日の朝食の御飯は前日の残り(と思われる。当人は二度炊きと云っているが)、その御飯の底には一匹の蠅が入っていた(きづな苑)。同月24日わらべ苑の夕食の生野菜に2種類の虫が付着。6月7日、昼食のチキン南蛮の鶏肉が生煮えで血の色まで残っていた(小規模きづな)以上写真参照。この他虫が付着した紫蘇の葉、腐敗した野菜(これは保健所に届け出)、食事量の減少などが続いた為、入居者と家族が事例を挙げ、「改善を指導してほしい」と熊本市に陳情したが何らの反応はなかったと聞く。食材と調理の問題も重要だが、肝心要の“味付け”がなっていないので「食べる気が失せる」と食べ残し、残飯が多く出る。入居者達は近くのコンビニで弁当を買ったり、御飯だけでも食べようと生玉子を掛けているのである。



外注業者選定も不明朗
 敬人会は食事の外部委託について地元2社、県外2社の計4社から見積りを取った。この4社は、第5回理事会の第5号議案の中で「外部委託の募集を行ったところ4社が応募したので外部委託が可能になった」としている。が、受託希望一覧の中で4社の後に「なお、(株)九州フードサプライセンターについては依頼を行ったものの対応なし」としている。募集に応じた会社が「依頼」(多分見積りの事か)して応じないのは不思議。

受託希望企業として
(株)LEOC(本社東京・給食業務の大手)。
森永食研(株)(同大分市・同中堅)。
和げん(熊本市西区・福祉施設を経営、そこに食事を提供)。
(株)徳一(熊本市中央区・和食料理店経営、仕出専門店)。

 以上4社が提出したと思われる食材費、委託費用等の一覧表が理事会に提案された。その中で1番安かったのが「和げん」であった。和げんはこの時の食材費を1日600円としていた。しかし昨年開かれた熊本市議会特別委員会で敬人会側は「1日の食材費は750円」と答弁した。それであれば4社中一番高値となるのである。

 食材費だけ見ればLEOC700円。森永食材630円。和げん600円。徳一600円であった。坂本氏は「給食の外部委託の目的は赤字の解消である」と断言している。前にも書いたが、赤字、黒字は施設全体の収支で見ればよい筈。福祉法人は“必要以上に黒字化を目指すべきではない。和げんの入札時600円の食材費は落札後の正式契約で750円となっており、他社排除の手法であったと見る。



 熊本市は、平成27年3月13日付で敬人会の前身である社会福祉法人「星峰会」に対し、特別監査による改善命令を出した。それに応えて星峰会理事会は東三起夫理事長を解任した。後任に選出されたのが法人設立時に土地、資金を“寄付”した梅田洋一氏であった。

 梅田理事長は親族の野田良治氏を副理事長に選んだ。理由は自分の推めで「わらべ保育園」設立の際2億2千万円を寄付(出資)させた責任を感じていたからだろう。二人の年収は施設長として1千万円前後であったが、出資者(寄付金名目)として「当然の見返り」と思ったとしても不思議ではない。梅田、野田両氏は創立者で前理事長の東三起夫と縁が切れず、東との間に不正な支払い契約をして金員を支出し続けた。内部告発者はそこを衝いて熊本市に告発、熊本市は特別監査を行い、東、梅田、野田3氏の処分と結果報告を求めた。その時、梅田氏の従兄弟が「市役所を局長で定年退職する人物が居る」として坂本純氏を梅田氏に紹介。梅田氏も「グループ全般の運営をして貰うには適任」として年収1千万円で理事長に選任、施設の運営を任せた。だが坂本理事長は着々と理事会の乗っ取りを図り、理事7中4名を固め、梅田、野田氏は理事を追われた。

 その後は、小紙平成30年5月の「敬人会・坂本純理事長」大特集の通り完全にワンマンとして君臨する事になる。だが、坂本理事長は熊本市の「改善命令」の中には入っていないのを利用。星峰会、敬人会運営の要を握る法人本部事務局長岩永靖宏氏を留任、800万近い年収も保証している。偏に敬人会の会計を岩永事務局長が一手に握っているからである。門外漢であった坂本氏が多くの施設を持つ経理を把握、運営出来る力量がないのは当然である。市の改善命令にはなかったものの(役員ではなかった為)星峰会時代からの不正行為に岩永事務局長の名前が出ているのである。極論すると星峰会、敬人会の不正の要を握っていたのが岩永事務局長と云える。言わば東三起夫氏以来の子飼であり、数々の不正を働いた東氏の懐刀でもあったと云える。坂本理事長は理事就任後真に敬人会を立て直す意志があったら真っ先に解任すべき存在である。にも拘わらず重用しているのは「経理も分からない無能」の故か、「これだけの悪なら自分の役にも立つ」と判断したのか。野田良治同様「利用出来る者は利用する」と役人時代の根性を引き摺っているからか。星峰会の東理事長が悪とはいえ、星峰会、敬人会で現在の様な大きな内紛はなかった。という事は坂本理事長が就任してから職員の離反、入居者の不満が噴出した根元は坂本理事長と云える。



創刊23年を振り返る〈8〉
河口の耐震工事・小紙が正しかった
 前号に続いて白川、緑川河口地域の耐震工事のマスメディアの虚報について記す。その前に、前号のイニシャル部分のメディアに情報を持ち込んだD社の元社員Oの名前の所でDと誤表記したのでOに訂正します。

 前号に記した通り本件は平成9年9月9日付熊日の朝、夕刊でトップ報道され、翌日から大手紙、県内民放テレビにより大々的に報道された。筆者も熊日の“後追い”になると思ったが取材に走った。但し筆者は“告発人”ではなく、土木工事の同業者から取材に入った。所がどの業者も「熊日が書いた様な手抜きは出来ないし、する必要もない」「熊日が書いた地中での矢板の曲がり方はあり得ない」という答えであった。その裏を取るには施行業者に会うのが一番である。筆者は知り合いの土木業者に頼んでその道の専門家を一人借り、取材に同行してもらった。素人の筆者が相手に「丸め込まれない為」の用心であった。

 某日D社に赴き、F社長と工事部長に取材した。その結果、熊日が書いた様に「手抜きをして1日に7、8枚打ち込む事は不可能。Oは、労働保険制度が変わった事に同意しなかったので会社側は翌日から現場に出さない様にした。それに不満を持ち自主退職したが、数日後、「正規の退職まであと7年ある。その間の給料をくれ」と云って来たので会社側は「保険さえ入れば復職を認める」と回答したがOが拒否。有りもしない「手抜工事」を捏ち上げ熊日に持ち込んだのである。後日この記事を書いた記者の同僚に「何であんなガセに騙されたのか」と聞くと「うちのミスだった。Oが持って来た資料と、自分の本名も出していいと云ったのでつい信じたし、お宅が書かなかったら他社に持って行くと云われたので急いで書いた」と聞いた。県下の全メディアが「手抜き工事」と書いた中で小紙だけが「手抜きはなかった」と報道した。熊日報道は関係方面にも影響を与え、九地建、元請6社は手抜きがあったかどうか、大掛かりな「漏水検査」を工事現場で行い、「漏水した」として手抜きと認定、発注先3社を指名停止の処分を行った(小紙は茶番と評した)。この3社の処分は九地建が世論を躱す“話合い処分”だったと後で聞いた。

 左の小紙解説図は平成10年1月号に掲載した物で、工法上必要な処置を示している。その後意外な所で小紙の主張の正しさが証明された。九地建から指名停止処分を受けた元請のM社が下請のD社に損害賠償を求めて提訴したのである。この裁判でOの虚言が暴かれ、手抜きはなかったとしてM社も提訴を取り下げた。平成11年5月号の小紙が詳報しているが、弁護士とOの遣り取りは下手な噺家より面白かった。




 少し前になるが久方に来熊したフリージャーナリストのA氏と食事を一緒にした。その際話題に挙がったのが大手ゼネコンは勿論、中堅のゼネコンの贈収賄事件を聞かなくなった事だ。A氏は週刊誌記者として勤務していたが、ある政治家の汚職事件を追っていた時、上司の副編集長から「社にとって敵に回す訳にはいかない」としてストップがかかった。正義感の強い彼は翌日辞職届を出し、フリーの道を選んだベテランである。最近は汚職は勿論、談合事件も話題に上る事が少なくなったと思っていたのでA氏に訊いた。

「最近大型工事は勿論中小事業でも談合の話を聞かなくなった。汚職も九州全域で年に1、2件挙がる程度だ。談合や汚職が無くなったのか、検察の力が落ちたのか」A氏「確かに東京地検特捜部は厚労省の所謂“村木厚子事件”(筆者注・大阪地検特捜部が担当。障害者団体などの郵便物が格安になるのに目を付けた企業などが制度の適用を受ける為証明書の発行を国会議員を通じ担当課に申請した。当時の担当課長であった村木厚子氏が部下の係長に指示して証明書を発行したとして大阪地検特捜部が村木課長を逮捕起訴した。その間、係長宅から押収したFDの一部内容を改竄していた事が発覚し、最高検が担当検事らを逮捕するなど社会問題化した)。以降冬の時代を迎えたのは事実だ。確かこの事件は平成21・22年頃だったと思うが、その後政治、経済事件で大物は挙がっていない。」「昨年リニア新幹線の品川駅と周辺の開発で大手ゼネコン4社が談合したとして特捜部の捜査が入ったニュースを聞いた。私はやっと特捜部が立ち直ったかと期待している」と筆者。A氏は「確かにそうとも云える。村木事件の直前まで特捜部は活発だった。平成18年だったと思うが、福島県が発注した流域下水道工事で佐藤栄佐久知事の弟の佐藤(下の名前を忘れた)が中堅ゼネコンの東急建設と地元特AのJVが落札出来るよう談合した。県は当初地元の中小企業も受注出来るよう工事を分割発注する予定であったが佐藤が一括発注する様に働きかけた。その結果前記JVが受注、競売入札妨害容疑で佐藤は逮捕された。その後の調べで6年前福島県が発注した大型ダム工事を受注した前田建設に佐藤が経営する会社の土地を高値で買い取らせる形で賄賂を受け取ったとして佐藤栄佐久知事を逮捕した。

 この頃、特捜部が一番元気だった様な気がするが、その前にも防衛庁や旧道路公団を巡る談合事件を挙げ「存在感を示した。そこで大手ゼネコンは『今後一切談合は行わない』と宣言し、一時は“叩き合い”状態が続いた様だが、それを続けると赤字受注にもなりかねず、いつの間にか元に戻ったらしい。しかし、談合が巧妙になり特捜部の網に掛かりにくくにった。発注者への買収工作も同様だ。以前は関係省庁の担当者に伝手を求めて人脈を築いて入札情報を入手したり、現金を直接渡していた。今でも地方はその習慣が続いているが中央省庁を持つ東京は違ってきている。私達も『どんな遣り方で金が動いているだろうか』と仲間同志で話し合うが、確実な裏を取った者は居ない。戸建て住宅やマンションに型を変えたりしているという噂もある。巷間云われている様に大規模事業では数千億の発注となる。大手企業だろうと公共事業だろうと受注するか、取り逃すかではゼネコン社の将来に係ってくる。当然受注合戦は熱を帯びて裏で動く金も多額だ。ゼネコン側もこの裏金作りに腐心する。某ゼネコンが10数億円の裏金をプールしているのを国税が摘発、特捜部にバトンタッチされた事件も『誰かに渡すため』の資金プールだろう」と話す。



箱物(建物)作りの首長は用心
 A氏に「貴方の話を聞いていると開発事業やダム建設、その他公表事業は受注を巡って大金が動くと取れる。この熊本でも熊本地震で多くの事業が動いている。県なども防災ビル、道路橋脚の復旧事業が盛んだ。熊本市にしても主な費用は国が負担するが熊本城の復旧、市街地再開発など大型事業が続いている。そこにも金が動く動くのか」と疑問を投げた。

A氏は「熊本の案件を取材した事はないが、県の発注事業であれば県知事が最終権限を持つ。県議も蠢くだろう。ゼネコンを頭に持ってくる事業は裏金が動くと見てよい」

筆者「蒲島県知事は大学教授からの転身で県民は『学者知事だから悪い事はしないだろう』と低知識層からの評判はよい」

A氏「知事が直接手を汚す事はなくなった。阿吽の呼吸で動いている県議なり県の幹部が居ると見ていいだろう」

筆者「熊本市は前市長からの続きで市民ホールなる建物を民間と作っている。私は大反対したが、現市長も『市の経済が浮上する』として事業を進め、今秋には開館が予定されている。そんな所にも裏金は流れるのか」

A氏「当然な事でしょう。発注者は自分の利益になる事にしか目がいかないから『うまい話を持ってくる』ゼネコンを使うのは理の当然だ。地元の企業から金を貰うよりゼネコンの方が安全だしね」。

筆者「それはどういう意味か」

A氏「地元業者は情報が漏れ易いし、受注金額も少ないからですよ」

筆者「大西市長は年に2回資金パーティーを開いていて金は充分にあると聞いているよ」

A氏「そんな事はない。金はいくら有っても困るものではないし、要求しなくても業界常識のパーセンテージで業者が持ってくるよ」

筆者「時折そんな噂を聞く事はあるが、市民第一と常々云っている市長が、そんな汚れた金を受け取る事はないと思っている」

A氏「箱物作りや大型事業を提案する首長の目的は金と思って間違いない。只尻尾を出さないだけだ」と筆者にとっては教訓に満ちた会談の一刻であった。今後少し見方を変えようか。



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