過日ローマで開かれたG7(先進7カ国財務省・中央銀行総裁会議)に出席した中川昭一財務相(後に辞任)の泥酔記者会見について本紙流の論評をする。各メディアの情報からの推論である事を予めお断りしておく。
中川財務相には担当部署のキャリア、メディア関係者が同行していたが各紙論評の多くは毎日新聞2月18日付小菅政治部長の論説「政治衰弱醜態防げず」に大同小異と受け取った。この中で小菅部長は「政治先送りのツケが回った。財務官僚は、このまま(飲酒を示すか)では世界に恥をさらしてしまうとの想像力が働かなかったのか」と述べ、いささかも直前の昼食に記者2人が同席した事には触れていない。前夜は中川財務相を囲んで多くの記者達も飲食を共にしている。中川氏の酒豪、酒癖の悪さは周知の事実とされる。なら記者の誰かが「大臣明日がありますから」と酒量を抑える発言が出来なかったのか。
当日の昼食にも記者2人が同席している。1人は読売の女性記者だ、あと1人は名前が出なかったが共同通信ではないか。この2人は中川氏の飲酒(ワインか)を「確認していない」と云っているらしいが、同席していて分らなかったはないだろう。要は、中川氏に諫言しきらなかったのである。気分屋の中川氏の怒りを買いたくなかったのか、所謂“番記者”で日常からの癒着があったのか。
日本メディア界の特徴に“番記者”制度がある。首相以下各大臣に張り付ける記者の事である。毎日の様に行動を共にすればお互い職務以上の感情も生れるだろう。この感情を筆者は癒着と捉えている。癒着が昂じるとどうなるか。大臣の走狗と化し、ライバルの情報を集めて報告したり、都合の悪い言動は記事にはしない。中川問題を最初に採り上げたのは外国のメディアである。一旦事が報じられたら「自社が先行したのではない」との云い訳が立つのか、後は例の如く中川バッシングが始った。それでも筆致は柔らかであったが…。
会見現場で「中川大臣、貴方の態度は何ですか」と日本人記者が発言していたら世界のジャーナリストも日本のメディアを見直したのではないか。自省すべきは報道各社である。
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