熊本県民新聞 WEB版
本紙の信条

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熊本市東区八反田1丁目14-8

発行者:福島 宏

電話:096-234-8890
FAX:096-234-9883


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 最近弁護士の犯罪が報じられる事が多くなった様な気がする。それも殆どが金絡みである。弱者の味方であるべき弁護士が依頼人を裏切り、立場を利用して犯罪に走るケースが多い。つい先日も関東地区在住の弁護士が精神障害者の後見人という立場を利用して1、600万円程をネコババしたと報じられていた。法の裏の裏まで知悉している筈の弁護士の犯罪がばれるのは、万一なのか、それとも氷山の一角として表われるのか。

  弁護士、判事、検察官は同根である。共に難関の司法試験にパスして研修生となり、後に夫々の進路を選ぶ。判事、検察官の道を進むタイプは正義感が強いと感じるのは職務柄か。弁護士はこの二官に比べ、職掌柄柔軟性があり、ある意味正義感一本槍では飯は食えない。又、判事、検事を一定期間勤めると自動的に弁護士資格が得られる。第2の職場として弁護士の道に進むのは検事が多い。所謂 「ヤメ検」 と呼ばれる弁護士で、検事時代大事件を手懸けた検事は 「大物」 と呼ばれ、弁護士として独立した途端、多くの企業などから顧問依頼が来て現役時代の何倍もの収入を得る。以上本題を脇に置いて、長々と弁護士業界の一端を述べたのは、この業界は玉石混淆の世界であると訴えたかったからである。で、ここから本題に入る。筆者が"悪徳弁護士"と断じる弁護士は、熊本市中央区に事務所を構えるK弁護士 (以降Kと称す) である。Kは熊本地裁に 「遺言無効確認請求事件」 で提訴され、原告側と係争中である。従ってこの件については裁判所の判決を待つしかないが、本稿では弁護士職務基本規定に反すると思われる行為を中心に報道する。勿論提訴されている案件も係わっているので、当然触れる部分が出てくるが、依頼人の信頼を裏切ったKの言動は弁護士として容認し難い行為である。

 Kと原告の出会いは平成21年4月、原告が法律相談で 「法テラス」 に訪れたのが切っ掛けである。この時応対したのがKであった。原告はKの態度に好感を持ち、その後Kの事務所に問題を抱えている叔母 (以降Tと称す) を連れて行き紹介した。T氏が抱えていた問題は東京の弁護士から 「不当な手数料を請求されていた」 もので、請求金額を支払い、Kが 「契約解除」 を通告して解決した。T氏は東京生まれの東京育ちであったが、夫との間に子供がなく、夫と死別後熊本の姉 (原告の母) を頼って来熊、以後東京と熊本を往来する生活を送っていた。その過程の中で 「顧問、美術品等の調査」 名目で東京の弁護士に800万余請求されたのである。T氏はかなりの資産を所有していた上、高齢であった為 「今後の事もある」 として原告と共にKに顧問契約を申し入れT氏はKとの間に顧問契約を結んだ。この時は、Kの弁護士事務所のあと一人の弁護士と連名で契約したが、何故か2年後の平成23年9月、Kは単独でT氏と顧問契約を為直している。T氏は6年前から熊本市内の介護付き有料老人ホームに入居、原告が足繁く通って身辺の世話をしていたのであるが、Kが顧問契約を為直す3カ月前、交通事故に遭った。その為T氏を訪ねる事が出来ない状態の中でKはT氏と顧問契約を行ったのである。加えてT氏は数年前から物忘れや、被害妄想の症状が出ており健全な精神状態とは云えなかった。Kが顧問の再契約を結んだのが9月14日で、その15日後の9月29日、KはT氏から 「依頼を受けた」 として第2遺言状を熊本公証人合同役場で作成したのである。T氏の姪で、T氏の身許保証人、引受人である原告に一言の相談もなく行っていたのである。この遺言状の作成手数料が1,664万円であった。

 K弁護士がT氏に請求し取得した 「遺言書作成手数料」 が如何に出鱈目で高額かは、日弁連の旧報酬規定と比較しても歴然としている。日弁連の規定は定形で10~20万円。非定形で財産が多額の場合、仮にT氏が3億円の財産を所有していたとしても、3億円の0・1%プラス98万円であり、128万円が限度である。1,664万円という数字をKはどう弾き出したのか。元々T氏を法テラスに連れて行き、その後Kと顧問契約を結ぶ為T氏をKの事務所まで同道したのは原告である。原告は自分とT氏の関係も詳しくKに説明している上、その後も老人ホーム内の出来事などを報告し相談もしている。その原告が交通事故で動けなくなった途端、Kは頻繁にT氏を訪れるようになり、前記遺言書の作成を行ったのである。



K弁護士
用意周到 遺言書作成直前
依頼人の病状鑑定依頼

 T氏が最初の遺言書を作成したのは平成12年8月。東京の公証人立会いで遺贈者を原告と指名した。前年にT氏の姉、この年の3月にも残っていた姉が亡くなり近親者が居なくなった。資産管理を委ねていた税理士らの助言もあって以前から身の回りの世話をしていた姪に遺贈するとした公正証書に不審はない。この事実をKは充分に知っていたと思われるが、遺贈者とされている原告に一言もなく (後述するが全て内密に) 第2遺言書を平成23年9月23日付で作成したのである。

 この遺言書作成に当たってKは熊本市内の精神科医N氏に 「認知症の有無と、財産の管理・処分の能力、および遺言能力の有無について」 鑑定を依頼したのである。N医師の鑑定主文は 「①認知症はない」 「②自己の財産を単独で管理・処分することができる。十分な遺言能力がある」 であった。この鑑定自体不合理的であるが、こちらは素人、司法の判断に任せる。診察と検査は平成23年8月26日から10月4日にかけて行われ、鑑定書は10月31日付で作成されている。Kが第2遺言書を作成したのが9月29日である。何故鑑定結果が待てなかったのか甚だ疑問である。

 最終鑑定は10月4日でN医師が 「認知機能の評価を目的とする検査」 を行っている。少なくともこの鑑定を待ってからでも遅くない筈である。しかもこの鑑定書内の第6項にも大きな過誤が見られる。6項は 「既往歴及び現病歴」 となっているが、病歴についても欠落があるがこれは省略する。問題は 「精神科での治療歴はない」 である。T氏が介護付き老人ホームに入居している事は前に書いたが、入居後の3年程でホーム内で自力で行動する事が困難になり、平成18年に介護フロアに移っている。それ以前からT氏は"物盗られ妄想"がひどく、東京の老人ホームや、通院先で 「手帖が無くなった」 「保険証がなくなった」 と騒ぎ立てた事がある。熊本に居住してからも同様の騒ぎを起こしているが、これは認知症の範疇にある事は医学的に認められている。余分な事を書いたが、N医師が 「精神科での治療歴はない」 と鑑定書に書いたのはKと、T氏が外出の際よく同行していた看護師資格を持つS (別件で提訴されている) らの説明を鵜呑みにした結果であろう。ある意味N医師はKらに騙されたとも云えない事もないが、精神科の医師が鑑定する相手 (T氏) に直接 「精神科に診てもらった事がありますか」 位は問診して当然ではないか。その文言は鑑定書に一言もないのでN医師はKらの説明だけで 「精神科の治療歴はない」 としたのであろう。

 T氏は平成21年5月精神科のM病院で、翌22年3月と5月に熊大病院の心療内科で診察を受けているのである。しかも、同年7月にも熊大病院に診察を予約していたが、K、若しくはSがキャンセルさせ、KがT氏に同行して郵便局で数百万円の払い戻しをしているのである。Kが同行したという事は、既にこの時点でT氏が単独で銀行、郵便局での手続きが難しくなっていたのではないか。鑑定書が出来る1年以上も前の事であるが、1年後の平成23年10月の鑑定書では 「計算力など」 の項で 「…買物やタクシーの支払い、銀行、郵便局での手続きもできる」 と判断しているのである。

 この頃T氏は買物、タクシー代の支払いなど付添人が行わなければ出来ない状態にあった上、足が不自由な為車椅子が必要であった。この様な環境下にあったT氏をKは連れ回して診察させ鑑定書まで作らなければならなかったか。依頼人のT氏が心身共に健全であれば (と判断しているなら) 何で態々鑑定を行ったのか。邪気を回せば、後日原告らに第2遺言書の作成がばれた場の 「証明」 に使おうとしたのではないか。Kは遺言書作成の3カ月後T氏が入居しているホーム宛 「自身が遺言執行人となった。T氏は遺言を迅速かつ確実に実行してほしいと切望している。亡くなった時は先ず当職にその旨連絡を頂き、必要書類確保後ご身内に連絡して下さい」 といった主旨を送付している。



 今でこそ 「落ちこぼれが行く高校」 と揶揄される鎮西高校 (今回の一連の取材で初めて知った) だが、その歴史は熊本で尚絅高校と並んで古い。

 尚絅高校は、明治21年4月済々黌附属女学校として創立、明治24年4月女子校として独立、尚絅女学校となった。

 鎮西高校は明治21年10月、浄土宗開祖の法然に指事した弁長 (字は弁阿、号は聖光房) が布教と子弟教育の為 「浄土宗学鎮西支部」 として創立した。明治38年4月学制により鎮西中学校に校名変更。昭和23年4月新制度により鎮西高校となり、中学校を開校、中高一貫校となった。昭和35年4月、戦後のベビーブームを見越して真和中、高校を創立、進学校として名を高めた。

 因みに中央高校は明治36年、坪井工芸学院として開校。翌37年東亜鉄道学院 (現開新高校)、42年八代白百合学園、44年に九州学院、市立高等女学校 (現必由館高校) などが開学している。横道はこれくらいにして。

 鎮西高校の校訓は 「誠 誠実をもって一貫すること」 「信 信念を養い明朗なること」 「望 希望をもち努力すること」 とある。建学の精神は浄土宗の宗旨により、国の恩、祖の恩、衆生恩、三宝恩を掲げている。戦前戦後、鎮西高校は私学の雄として君臨、現在の様に 「他校を落ちたから行く」 学校ではなく、親達は 「鎮西だから子を学ばせる」 と選択したと語る人は多い。その鎮西の凋落振りを嘆くOBの幾人かから電話を貰った。以下は、その声と、本紙取材の記述である。

 現在の状況を招いたのは偏に上田校長にある。彼は50代の頃までは母校を思う心情が読みとれていたが、次第に専横振りが目立つ様になった。鎮西高校の中堅を占める先生達の排除が始まり、古い先生から辞めていった。本来なら学校幹部は鎮西生え抜きを据えるのが常識だが、彼は自分の出身高校である熊本県立熊本高校の出身者で周辺を固め始めた。11名居ると云われる理事も熊高出身者が多い。今上田校長 (理事長) が懸命になってやろうとしているのは 「息子を後継に」 である。この事は多くの関係者が認める所であるが、当人は心身に問題があり、49歳の現在も未婚である。だが、理事であり副校長であれば校長に次ぐ権力者である。ここに付け入っているのがM教頭、T事務局長らである。野球部監督のEも副校長のお気に入りと云われ、これまで野球部の不祥事が続いても処分はなされていない。「鎮西を運営しているのは実質的にはT事務局長」 と云われる程T氏は実力を有しており、教職員がT氏の指示に不服を申立てると 「いつでも辞めてもらって結構」 と威圧的態度を取る (某職員談) という。

 T氏が上田校長に取り入る手法の一つに"掃除"がある。上田校長が出勤する日時は事務局長の立場上事前に知る。すると 「校長が校内に入る直前頃からT氏が掃除を始める」 のである。「えっ事務局長が」 と筆者も驚いたが、複数の職員が 「事務局長の掃除は皆知っていますよ」 と口を揃える。校長に気に入られる為の涙ぐましい努力である。

 で、校長不在の時は 「校内を一時間ウォーキングする。当然汗が出るので下着の着替えを元指導室に使っていた室で行うが 「その時下着姿で廊下を歩き回る事も再三あった」 と云われ、女生徒の居る前でも平気で行動するので 「あれはセクハラではないか」 と先生達の間で話題になっ事もある。T事務局長は大学卒業後県教委に採用され、県立高校で数学を教えた。県立鹿本高校長を定年退職後鎮西高校に再就職して現在に及んでいる。


鎮西高校野球部保護者会
T副部長が思い通りに操った
 鎮西高校野球部については学校内組織として 「鎮西高校野球部保護者会」 が存在し、野球部員の保護者の中から会長や書記、会計係が選ばれていた。保護者会の主な業務は部員からの会費、部費などの徴収と活動費の支出であった。会は規約に則り順調に運営されていたが、平成21年12月下旬、当時の会長から保護者に招集の要請があって、保護者らは鎮西野球部室に集合した。保護者を前にT副部長は 「私が鎮西高校に来てから、保護者や子供が種々問題を起こしている。これは家庭での保護者の指導がよくないからだ」 といった主旨の言を述べ、「この際保護者会を解散したらどうか」 と発言した。突然の発言であるが、保護者としては 「子供をT副部長らに預けている」 といった弱味もあってこの発言に逆らえず、同日をもって保護者会は解散となった。
 翌22年2月、解散時の会長から 「2月27日日曜日に鎮西グラウンドに集ってくれ」 と招集がかかった。当日野球部員の保護者らがグラウンドに集った所、T副部長から新組織の規約らしい 「誠信望規約」 なるプリント文書を渡され、「正会員誓約書に署名押印してほしい」 旨の発言があった。しかし、規約の中に 「寄付金」 の文言があり、これに気付いた保護者の一人が 「寄付金はおかしい、部費とすべきではないか、保護者が出す金であり、部費として徴収し、公に使われるべきだ」 と発言、全保護者が同調した。又、T副部長は 「この会長に私が就きたい」 とも述べたが保護者の了解は得られずその日は解散となった。その後保護者会の再結成はなく、会計は全てT副部長が担当した。
 平成22年度入部金は一人3万円。部員30名で90万円。部費は一人月額6千円、22年4月から23年2月分まで326万6、000円であった。T副部長は平成23年2月27日に収支決算報告を行ったが、一部保護者らが行った収支計算と食い違いが生じた。入部金90万円の記載もなく 「これらはT副部長、E監督らが私的に流用したのではないか」 疑惑が持たれた。集金も茶封筒に部費を入れ、それをT副部長が徴収、封筒に個人印を押すが、その封筒は返却されないのである。その後保護者らの追及で、E監督お気に入りの保護者Tさん名義の銀行口座が開かれ入金が行われている。



下宿所「一心館」経営
年間数百万円の益上げる
 鎮西高校の教員数は60人前後、この内を非常勤講師が占めている。これは鎮西に限った事ではなく、他の私立高校も似た傾向にある。少子化による生徒減下で如何に生き残るかが試されていると云えるだろう。所で講師に比べ授業態度の劣るのが正職員である教員と云われる。数年間給料は据え置かれ、遣る気が失せるのも分からないでもないが、だからといって授業の手抜きは許されない。その典型が以下に述べる社会科 (地歴、公民) 担当のN教員である。N教員は現在3年D組 (特進クラス) の生徒が1・2年生の時、社会科を教えたが、授業時間の出鱈目振りに一部の生徒が怒り心頭に発している。遅刻欠課は日常的で、その間生徒は自主授業を強いられる。「時間通り授業が始まっても、終了20~30分前で打切る事も再々あった」 と某生徒は語っている。N教員はこの頃生徒指導部長を務めており、その関係もあったのではないかと見る者も居るが、だからといって正規の授業を等閑なおざりにして良い理由にはならない。

 N教員のもう一つの顔は同校駅伝陸上部監督である。N教員は駒大出身だが、大学在学中箱根駅伝出場経験が買われ、創部の段階から係わり、コーチ、監督の道を進んだ。尤も箱根駅伝出場といっても1区のワーストスリーの一人として名前が残っているだけだが。鎮西の駅伝監督としては平成21、22年度陸上競技優勝監督として県高体連から表彰された実績を持つ。同校公式ブログで 「部活紹介13・4・17更新」 によると 「部員は高校16、中学3の19名」 「駅伝・陸上競技部は監督宅に住み込みながら生活している者もあれば、通学者も居るが、長期休暇中には合宿生活で集団生活をしてチームワークを高めている」 と記されている。この中の 「監督宅の住み込み」 と 「合宿生活」 が 「N教員の金づる」 とは同部OBの保護者。Nは自宅を 「一心館」 と名付け、生徒を寄宿させていた。寮費は月額5万円プラス米10キロと聞くが米を持参しない生徒は別途米代が必要である。Nは市内居住者でも 「チームワークが必要だ」 として寮生活を推めていたと云われる。従って寮生は常時10数名が居た様だが仮に10名としても月額50万円の寮費が入る訳だ。勿論寮生の食事代、光熱費がかかるが、寮生、その他周辺の人達の話を総合すると、一人月額2万円に満たない感じである。食べる米は生徒持参で、副食はNの妻がスーパーなどで買ってくるが、多くは 「チクワ、天プラ、ソーセージ、玉子が主体」 と云われる。この材料を使って生徒達が朝夕の食事を作り、Nの妻が作ることはない。


N監督不倫発覚?
妻子 家から消える
一心館も閉鎖か

 N監督の金儲け主義は 「夏期合宿」 でも発揮される。駅伝競走部は学校が夏休みの間2回程"合宿訓練"を行う。合宿所は自宅一心館である。1回1週間程で、ほぼ全員が参加するが、費用は5万円前後。2回で10万円を徴収するが、特に食事が豪華になる訳ではない。流石に合宿の時はN監督の妻が食事作りを手伝うらしいが、確認はしていない。と云うのは、今年の夏休み前から妻子の姿が見えなくなったのである。Nと妻の間には高校3年を頭に2男1女の子供が居るが、妻はこの子供と共に家を空けたのである。同時に 「例年夏は合宿で賑わうのに今年は休み前から生徒の出入りがなくなりました」 とは近所の人の話。一部の生徒は 「監督の浮気を奥さんが知り家を出て行った」 と語り 「寮を出られて清々した」 とも話している。

 鎮西高校内でもN監督の評判は芳しくなく、女性問題については 「結婚する前から女性関係は乱れていた。結婚後も行き付けの飲み屋に彼女を呼び付けていた」 「金回りが良く時計はロレックス、スーツは高級布地の特注物で30~40万したと当人が話しているのを聞いた」 と語る関係者も居る。不倫はあったとしても本人の問題だが、それが原因で部員の環境が変わり、部活動が弱体した場合の責任を監督としてどう取るのだろうか。



 本紙平成24年11月号12月号で特集として報道した㈱キューデン・グッドライフ熊本 (略称グランガーデン) が2,000万円の損害賠償を求めた民事裁判が熊本地裁で行われている。別の入居者も提訴を検討中と云われ、裁判での勝敗に拘わらず九州電力㈱の100%子会社が提訴される事自体が異常と云える。

 この民事訴訟が提起されたのは今年5月24日付。原告は平成17年2月、叔母のTがグランガーデンに入居する際原告も同時に同室に入居、入居一時金と共に健康管理一時金 (2人で1、050万円) を支払った。原告はTの身許保証人であり、引受人でもあった。
 訴状によれば 「株式会社キューデン・グッドライフ熊本 (以降被告会社という) は介護付有料老人ホーム (一般型特定施設入居者生活介護) を経営する会社である。被告Sは被告会社に勤務する者であり、介護・看護スタッフの長 (介護サービス部々長) である。被告会社とS部長は説明すべき事柄を説明しなかった説明義務違反。介護義務違反としてTが生存中 (本年1月25日死亡) の平成24年7月初旬頃から医師の指示に基づかずに独自の判断で点滴を行った」 Tに対する医療機関の選択に対する妨害 「原告が、平成24年9月、被告会社が指定する医師とは異なる別の病院にTを連れて行こうとした際に、被告Sらは、何ら合理的理由がない上、原告の行為を止める権限がないにもかかわらず原告の行動を長期間にわたって妨害した」 不適切な外出 「被告Sは、原告に無断で繰り返しTを外に連れ出し、Tの負担で昼食や夕食をとっていた。しかも昼食の額は1回につき2万1千円という高額のときもあった」 郵便物の受取りに対する妨害 「被告Sらは、T宛の郵便物を郵便受から抜き取り、T及び原告に渡さなかった。その数は107通にのぼった」 保護義務違反 「Tは当初第一遺言を作成していた。この第一遺言によって、原告はTの財産全てを遺贈される地位にあった。しかし、被告Sは、Tが重度の糖尿病で合併症もあり、左目は失明し、右目もほとんど視力がなく、耳も難聴と診断され、痴呆症の状況にあることに乗じて、弁護士と結託し、平成23年9月29日付公正証書遺言を作成させTの財産のほとんどを流出させた」 以下略。

 これに対して被告側は、入居契約、条件等は認める。原告がTの保護者であったことは否認する。保護義務も認めることはできないとほぼ全面的に否認すると共に 「被告らに対する名誉毀損であり侮辱行為である」 と反論している。

 では事実はどうか。前述の様に目下係争中であり、決着は裁判所に委ねるしかないが、九州でトップ企業として君臨している九州電力㈱の100%子会社であるグランガーデンの入居同居者であり、身許保証人でもある原告から提訴された自体が問題ではないか。介護付老人ホームは入居希望者が多く福岡市とその周辺では高級有料老人ホームが続々と建てられている。それに先駆ける形で九電は福岡、熊本、鹿児島に高級施設を作った。しかし、全4施設とも赤字経営とは如何なる原因があるのか。前にも書いたが、各施設の主要メンバーは九電からの出向で、2、3年で九電に戻っていく。これでは入居者と一体となった改革や発展が出来る筈はない。


グランガーデン介護フロアの地獄
入居者が悲痛な訴え
  先ずは今年6月27日に開かれた 「定例運営懇談会議事録」 から。「グランガーデン熊本より検討議題」 として 「運営委員会議事録の取り扱いについて」 と題し 「某新聞に議事録が掲載された事等をふまえ、ご入居者及び関係者を対象としているものであることから 『部外秘』 『関係者外秘』 を議事録に明記するなどの対策をとりたいと考えております。皆様のご意見をお聞かせ下さい」 とある。某紙即ち熊本県民新聞であろう。2、3の意見が出席委員から述べられた結果 「今回の議事録よりご入居者・各関係者のみを対象とし部外秘とさせていただきます。取り扱いには十分ご注意下さい」 正に笑止千万な決定ではないか。報道を恐れる余りの入居者口封じとしか映らない。云っておきますが、議事録の流出を防ぐのは先ず無理でしょう。情報流出も同様です。一番いい方法を教えますグランガーデン殿。それは貴社が人道に基づき、入居者の幸せを第一に考え行動すれば解消します。

 で、本題。同日付議事録からMさん 「私のことについて説明します。平成23年12月13日、医療事故により長期入院しました。事故を起こした病院より日赤に当日より入院、翌年の1月6日まで在院。同日より西日本病院へ転院。同病院を6月16日退院しグランガーデンに帰って来ました。当初事故より2月末頃まで意識不明で意識回復リハビリに励みました。本格的にリハビリをしたのは4月4日より1週間で約20時間行い回復に向かったが、長期入院の期限切れで退院せざるを得なかった。少なくともグランガーデン熊本では位の時間はリハビリをしてくれると思っていました (病院ではないので)。しかしグランガーデンでは何もしてくれず訪問リハビリをお世話いただいた。2時間から多くて2時間40分、訪問リハビリ費用が10万円以上の負担になり、これ以上続けられなかった。リハビリの事を毎日考え眠れなくなり、手は内側に曲り、足の痙攣がひどくなった。手持ちの乗馬と電動ペタルを3階に持込み、最大限に利用し体力維持に努めている (しかし西日本病院では歩行訓練をして80mは杖をついて歩けていたが、今では平行棒を使っても数歩しか歩けない状態だ。疑問に感じ西日本病院整形外科医に相談した結果、週2回、医療保険でリハビリを受けられる事になった。本来ならグランガーデンが、私の手足となって動いてくれるべきだが、私自身が走り回って行うという事は、元々契約違反と同時に介護保険法の違反である」 以下略。入居時に高額な入居金を払い、加齢で体が弱って3階の介護フロアに住み替えした人の扱いがこの状態である。

 本紙平成24年12月号 「第2弾」 「大間違いだった! 『終のすみか』」 「専門職不在リハビリもなし」 の見出しで報じた通りの事が起きているのである。因みにこの時の記事はMさんの事ではない。又、Mさんが 「訪問リハビリに10万円以上使っている」 とあるが別紙でMさんは手書きで 「この10万円は10割自己負担」 とある。これは奇っ怪な事である。Mさんの正確な年齢は知らないが70歳以上であれば1割負担の筈。某氏によると 「グランガーデンの入居者は高収入の方が多いので医療費も3割負担の方が結構居ます」 と語っている。しかしMさんの発言を見ると10万円が負担となると云っているので3割負担者ではないだろう。

 グランガーデンの介護関係ではまだまだ疑惑があるので何れ解明したい。ここで云えるのは、要介護者についてはケアプランに基づく介護が必要で、各施設にはケアマネージャーが居る。一人のマネージャーで26~30人位を担当している様である。グランガーデンでは前記被告となっているS部長が 「ケアマネージャーの筈」 と見られている。このS部長がきちんとした 「ケアプランを立てていない様だ」 とは関係者の談である。所謂 「行き当たりばったり」 ではないかとの疑惑が持たれているのである。それにしてもMさんの悲痛な叫びには涙が出そうになる。このMさんに対する回答の冷たさは次号に。
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